JATA、訪日要望書を提出 複数年プロモーションと流通改革を訴え

  • 2026年4月23日

 日本旅行業協会(JATA)は、観光庁に対し第5次観光立国推進基本計画の目標達成に向けた要望書を4月13日に提出し、その内容について定例会見で説明した。地方誘客の実現に向けた複数年型プロモーションや観光人材の育成強化を柱としつつ、旅行会社が担う流通機能の重要性を強調した。

 要望の中核は、地方誘客の強化だ。単年度で分断されがちな施策を見直し、商品造成から販路構築、プロモーションまでを一体化した「訪日版デスティネーションキャンペーン」を提案。広域DMOやJNTO、旅行会社が連携し、複数年にわたり集中的に展開することで、持続的な誘客につなげる考えだ。会見では「大規模かつ集中的なプロモーションを行うには、1年は短すぎる。商品造成から販売、集客まで段階的に進めるには2年から3年のスパンが必要」と説明し、制度設計の見直しを求めた。

 海外市場へのアプローチでは、特に欧米豪市場におけるB2B商談の重要性を指摘。バイヤーは「信頼できるサプライヤー」を通じて商品を選定する傾向が強く、地域単独のプロモーションではなく、旅行会社を含めた流通体制の構築が不可欠とした。従来の「地域プロモーション中心」から「販売・流通まで含めた誘客」への転換を強く打ち出した形だ。

 観光人材については、量から質への課題シフトを明確にした。通訳ガイドの育成においては、ベテランガイドに同行して実務経験を積む「サブガイド制度」の導入を提案。新人ガイドが実際のツアーに同乗しながら知識や対応力を習得できる仕組みを整備し、その費用補助や制度化を求めた。在留外国人の活用とあわせ、特に地方における高付加価値旅行への対応力の底上げを図る考えだ。ガイド人材は訪日体験の質を左右する中核であり、リピーター創出にも直結すると位置付けた。

 会見では、JATA訪日旅行推進委員会の石田恒夫副委員長が、インバウンドビジネスと政策の時間軸の乖離に言及し、旅行会社の取引は常に1年先を見据えて動いていると説明。さらに、航空券の予約期間の長期化により、商流全体が1年半から2年先を前提とした動きになっているとの認識を示した。その上で、単年度予算に基づく施策についてはOTA中心の支援に偏りがちであり、「リアルエージェントにとってはメリットが乏しい」と指摘。現行の政策が実際の流通現場に十分に届いていないとの見方を示した。

 さらに、旅行会社の役割についても強調した。「我々旅行会社がやるべきことは、地域と地域をつないで実際の商品にしていくこと」とし、広域周遊型の商品造成において不可欠な存在であると示した。

 要望書では、こうした課題認識のもと、地方誘客においてはコンテンツ造成や受入環境整備、プロモーション、流通が分断されている点を課題とし、官民の連携強化による一体的な取り組みの必要性を指摘している。