夏休み旅行、国内外とも回復基調 海外旅行は前年比20%増

JTBが発表した2025年夏休み(7月15日〜8月31日)の旅行動向調査によると、旅行者数は延べ7464万人、総旅行消費額は4兆264億円と、ともに前年を上回る見通しとなった。特に海外旅行は244万人と大幅増を見込み、コロナ禍前の平均値の9割に迫る回復を見せている。
本調査は、同社が1969年から継続して実施しており、1泊以上の日本人旅行について、各種経済動向や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、さらにJTBグループ独自のアンケート調査をもとに総合的に推計されたもの。
2025年夏の旅行市場は、円安のやや落ち着きやボーナス支給額の増加、日並びの良さなどが後押しし、旅行意欲は堅調に推移している。国内旅行者数は7220万人(前年比100.3%)で微増、平均旅行予定費用は4万6000円(同104.5%)と、物価高の影響を受けつつも遠方人気や長期化傾向が続いている。
国内旅行では「家族と過ごす」ほか、「自然や風景を楽しむ」「リラックスする」といった目的が上位を占め、とくに20~30代で「デジタルデトックス」や「SNS映え」を意識した旅の需要が目立つ。同行者別では「ひとり」や「夫婦のみ」が増加し、少人数で静かに過ごすスタイルが主流となってきている。
旅行先では、関東が最も多かったものの、北海道や甲信越などの自然志向のエリアが軒並み伸長。JTBによる国内旅行では、大阪・関西万博や沖縄の新テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」などの新規開業が京阪神エリアおよび沖縄本島の予約を牽引しているという。
一方、海外旅行は前年比120.8%の244万人と急回復し、平均旅行予定費用は28万9000円(同105.5%)に上昇。アジア圏の人気は引き続き高く、韓国や台湾が上位を占めるなか、欧州や米国西海岸などの遠距離目的地も回復基調にある。とりわけ西海岸はMLB観戦ツアーの人気が高く、ハワイや欧州では「すぐに行きたい」とする意向が強かった。
旅行実施時期については、8月12〜15日の旧盆時期からの分散化が進み、「ピークを避けた長期休暇取得」の割合が増加傾向にあるとの結果に。
旅行支出全体では抑制傾向が見られる一方で、「趣味や旅行などへの支出は減らさない」との声も一定数あり、メリハリある消費志向が見られた。