「次の主役は若手世代」OTOA大畑会長が語る、変革と継承へのビジョン
若手登用、委員会改革、業界連携――オペレーターの未来を描くリーダーの視点
6月に行われた一般社団法人日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)の定時総会において、大畑貴彦会長の再任が承認された。インバウンド回復とともに業界の構造変化が進む中、協会としてどのような役割を果たし、会員にどのような価値を提供していくのか。総会後に語られた「若手の登用」や「委員会再編」「業界横断的な協業の推進」といったキーワードの背景にある思いを、大畑会長に聞いた。
大畑 貴彦氏(以下敬称略) ありがとうございます。既存の委員会の中でも特に重点的に強化したいのが「安全」「調査研究」「インバウンド」の3つです。それぞれにおいて6~7名程度の委員を会員企業の中から選出し、計20名規模の体制で活動してもらう予定です。その中でも、30~40代の若手人材を積極的に登用し、組織の新陳代謝を促していきます。これらの委員会の設立趣旨や委員構成の詳細については、今月中に正式発表を予定しています。
大畑 拠点やマンパワー、車両といった各社が保有するリソースを、会員間で相互利用できるような仕組みづくりに取り組みたいと考えています。もちろん、契約面・法務面・実務面での課題は少なくありませんが、小さな一歩からでも、できるだけ早く実装に向けた取り組みを始めていくつもりです。競争だけでなく「共創」を軸にした組織運営を目指します。
大畑 現在、提言の草案を理事会内で検討している段階です。他団体と共通する業界全体の課題もありますが、OTOAならではの視点を盛り込んだ提言書を今秋を目途に提出したいと考えています。提言の内容がまとまり次第、業界全体にも共有し、幅広い連携につなげていく予定です。
大畑 非常に積極的に取り組んでいきたいと考えています。会員間に限らず、非会員企業や異業種団体とのリソース共有、共同プロジェクトなど、より広い枠組みでの連携が今後の観光産業の発展には欠かせません。 また、デジタル化や新たなニーズに応えるには、既存の業界の枠にとどまらない柔軟な発想が必要です。

大畑 オペレーターは単なる「手配業」ではなく、旅全体の質を左右するプロデューサー的役割を担っています。現地の最新情報に基づいた柔軟な対応や、危機管理への備えなど、日本品質のサービスを現地で再現する力が試されます。移動手段や宿泊に関する仕入・手配は様々な選択肢が既に提供されていますが、ガイドや通訳、車両の手配などについては、信頼できる日本のオペレーターに任せたいというニーズはいまだ根強いと感じています。
だからこそ、現地での手配力や対応力をさらに磨き、「この会社に頼みたい」と思っていただける存在であり続けることが重要です。今後は、手配力に加え、提案力・交渉力・リスクマネジメント力といった多面的なスキルが求められていくでしょう。まさに、旅行会社とオペレーターが“共創”する時代だと捉えています。
大畑 向こう10年・20年を見据えて旅行業界を変革し、牽引していくためには、30代前後の若い世代の台頭、活躍が不可欠です。我々の世代は、次世代の活動を側面からサポートする役割に徹することが、今後の観光産業の発展に繋がると思われます。業界内の若い世代の方々には、どんどん表舞台に立っていただくことを切に願っています。