トリプラが訪日集客に本腰、海外ローカルOTAと直接接続、販路の明確化へ-新サービスをローンチ

宿泊施設向けITソリューションを手がけるトリプラは、訪日集客新サービス「tripla Nexus」の販売を開始する。台湾のLION TRAVELなどの海外ローカルOTAやGDSと接続し、訪日客向けに宿泊施設の客室を販売できるというもので、近日中に申込受付を開始する予定だ。
tripla Nexusは宿泊施設向け予約システム「tripla Book」を利用する施設が追加費用を支払って利用できるサービス。トリプラ代表取締役CEOの高橋和久氏は本社の独占インタビューに応え、「tripla Bookをご利用いただいている既存顧客の皆様に使っていただければと思う。説明会をすでにしているが反応が良かった」とコメント。加えて、新サービスの追加により、年内までに新たに100件の新規顧客の獲得をめざすとした。
高橋氏はtripla Nexusのメリットとして、宿泊施設の予約先の明確化を挙げた。同氏は宿泊施設が客室をグローバルOTA経由で販売した場合を例示し、「消費者が客室を予約したのか、どこかのローカルOTAがグローバルOTA経由で予約したのかが分からない」と現状を説明。とあるグローバルOTAの場合は予約の8割が他のローカルOTA経由であるとし、「ホテルからすると(グローバルOTA経由では)ローカルニーズが分からない」と課題を述べた。

一方で、tripla NexusではローカルOTAと直接接続するため、どのOTAから予約があったかが明示されるため、ローカルのニーズに合った販促が可能となる。高橋氏は「例えば台湾のOTAであれば(繁忙期の)旧正月や国慶節にあわせてメールマガジンを送るなど、ローカルOTAの特徴に特化したプロモーションができる」とメリットを訴えた。
現在tripla Nexusで接続できるローカルOTAは台湾のLION TRAVELとezTravel(易遊網)、中国のMeituan(美団)、インドネシアのtiket.com、インドのmake my trip。加えてスイスのGDS・reconlineとも連携しており、計6社と接続している。高橋氏によるとそもそもサービスの開発に至ったきっかけは台湾OTAからの要望であり、他のOTAからのニーズは高く、今後も順次追加できる見通しだという。
同氏は海外ローカルOTAは言語の問題やアプローチの伝手がないことから、日本の宿泊施設の客室のほとんどをグローバルOTAの在庫から手数料を払って販売している点を課題として指摘。東京や大阪、京都、札幌、福岡などはともかく、地方の日本の宿泊施設、なかでも温泉旅館との契約は「ローカルOTAにとって未知の領域」であることから「新サービスはOTAのサイトからの引きはとてもある」と語った。
今後は訪日市場の多くを占めるアジア圏からの集客をはかり、ローカルOTAに積極的に接続できるようアプローチしていく方針で、「より訪日客の集客がダイレクトにできるようにしていきたい」という。一方でトリプラがこのほど子会社「tripla USA, Inc.」を設立した米国については、「グローバルOTAが強く、ローカルOTAの需要があるかが見えていない。どう手を出すかは考えなければ難しい」との考えだ。
東南アジア市場でのプレゼンスを高める B2Bモデルに特化
また、高橋氏はトリプラの今後の海外市場展開についても言及。欧米は「市場が成熟しているため、競合他社と戦える機能が厚くなければ戦えない」とし、まずはアジアで積極的に展開し、強みを強化していく方針を示した。たとえば台湾市場ではタイからの旅行者が多いことから、タイ語に対応するとともにタイ人向けのサービスを付加。そのうえでタイ市場に進出するなど、「開発の効率化を考えながら広げていきたい」という。
今後はトリプラが進出している台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピンで市場の深掘りを継続し、取り扱いを拡大していく計画だ。ただし、韓国については売上が伸び黒字化しているものの、「市場の独自のトレンドがある」ことから慎重な姿勢を示した。
海外展開を続けていくと海外OTA化も可能かと思うが、高橋氏は今後もB2Bモデルに専念する方針を説明。「B2Cモデルはマーケティング費用がかかり、集客のロジックが営業で集めるB2Bモデルと違いすぎる。B2Bモデルで今後パイをとっていきたい」と強調した。