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「おもてなし」のトレンドは?Reluxがラグジュアリーホテル向けに勉強会を開催

  • 2022年7月28日

 宿泊予約サービスReluxを運営するLoco Partnersはこのほど、JALUXとダーワ・悠洛 京都の協力のもと「おもてなし勉強会」を開催した。勉強会は「おもてなしのトレンド」と「シャンパン・ワインとそこに付随するサービス」の2つの観点から、顧客満足度と客単価向上について考えるもので、ラグジュアリーホテルの総支配人や料飲部門責任者など約40名が参加した。

勉強会は日本初進出となる「バンヤンツリー・グループ」のダーワ・悠洛 京都で行われた

おもてなしのトレンドは「共感」

塩川氏

 勉強会の前半では、Loco Partners代表取締役副社長の塩川一樹氏が、自らの宿泊体験から得た知見をもとに、顧客満足度と客単価の双方が高い宿泊施設の基本的な考え方を解説した。塩川氏ははじめに、商品を高く売るためにはブランディングが必要だとしたうえで、商品の価値は品質、機能、デザインなどの「機能的な価値」に、「意味的な価値」を加えたものであると説明。「意味的な価値」は時代とともに移り変わるものであり、モノやサービスの選択肢が豊富な現在は「共感」に価値が見出されているといい、「意味的な価値」を生み出し、伝えるべき情報(コンテンツ)を整理して正しく伝えることがブランディングだと定義した。

 塩川氏は、「昔は商品があり、ブランドがあったが、現在は先にブランドイメージがあり、商品が続くというように、比重が逆転してきている」と見ており、コンテンツでは「ブランドと商品の二元論ではなく、会社のビジョンとブランド、商品の3つの要素が合わさる必要がある」との考えを示した。また、顧客満足度を上げようとすると「お客様ファースト」という言葉が出やすいが、顧客に媚びすぎることなく、互いに共感しあえる「ファン」という関係性が重要だと指摘した。

 「一流の宿泊施設は、その土地の気候や風土、施設のスペック、歴史や文化、宿主の思想・哲学など、宿の要素を掛け算しながらコンテンツを磨き上げており、それはワインの味わい方とも似ている」と塩川氏。「何もない」ことを売りにした北海道の旅館や、養護施設へのクリスマスプレゼントを企画した都内のラグジュアリーホテルなど、具体例を挙げながら、一流の施設にはファンのベースがあり、コンテンツを深堀りし、ストーリーに磨き上げてプレゼンテーションすることで、高い顧客満足度と客単価を維持していることを説明した。

ソムリエは「飲み物の係」ではない

中本氏

 後半では、日本ソムリエ協会副会長でフレンチの名店「ロオジエ」でシェフソムリエを務める中本聡文氏が登壇し、ソムリエとして大切にしていることを語った。「よく『ワインをサービスする』というが、私は『お客様にサービスする』だと思っている」と中本氏。来店客に最初に出すのに望ましいのは、酒ではなく水だという。「夏はもちろん、冬場も暖房がかかっていて脱水状態にあることも多い。売上を上げようとお酒を薦めるのではなく、水を薦めると、半数ほどのお客様は水を飲むと仰る」。また、飲食店では酒を提供することが先に立つスタッフが多いといい、「グループでボトルの注文を受けた際は、注ぐ前に飲むかどうかを確認すれば、無駄が生まれない。何気ないことだが、こうしたサービスを受けられることはほとんどない」と指摘。「多くの飲食店のマニュアルが、商材を提供するときの方法に関するものであり、お客様に合わせてどのように提供するかが想定されていない。お客様の様子を常に気にかけ、よく見てよく聞くということが本当のマニュアルではないか」と問いかけた。

シャンパンや白ワインは冷やし加減の好みにも気を配る。勉強会ではJALUXワイン部の提供によるワインとワインアイテムが振る舞われた

 中本氏は、ソムリエの仕事において、どれだけワインの知識やタイトルがあるかよりも、顧客に支持され、満足してもらえることを重視しているという。例えば「ソムリエは最初にファーストドリンクを伺うが、乾杯の写真を撮るかと声をかけるのもソムリエの仕事。飲み物の係というよりは、お客様に喜んでいただくために、お客様に最初に接する」のだといい、スタッフ1人1人が顧客に支持されるサービスをすれば、そのサービスを求める顧客がリピーターになり、特別なイベントなどを行わなくても店は常に満席になると説明した。

 また中本氏は、飲食店のワイン・シャンパンの品揃えについても言及。例えば訪日観光客向けであれば、どの地域から訪れるかも想定し、価格や産地なども踏まえてリストを考えることが必要だという。「ワイン・シャンパンのリストは調度品と同じ。大切なのはバランス。たくさんのリストを準備するより、お客様のリクエストに応えられるリストが理想」と考えを語った。