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てるみWGが最終報告書-弁済制度引き上げ、海外ツアー取扱額ごとに

  • 2017年9月8日

石井氏  観光庁は9月8日、てるみくらぶ問題の再発防止策を検討するための「経営ガバナンスワーキンググループ(WG)」において、8月31日付で再発防止策をまとめた最終報告書を公表した。WGは8月2日の第4回会合で、これまで示していた2つの論点のうち、「企業ガバナンスの強化」をまとめており、今回は事務局が各委員との意見交換などを経てまとめた、「弁済制度のあり方の見直し」を加えて発表。12月から再発防止策に順次取り組むとともに、来年4月には必要に応じて省令を改正する。国土交通大臣の石井啓一氏は同日開催した定例会見で、「企業運営の透明化と適切な経営の確保をはかり、てるみくらぶのように大規模な負債を抱えて倒産する事案を防いでいきたい」と意欲を語った。

 「弁済制度のあり方の見直し」については、第1種旅行業を対象に、18年4月に省令を改正し、弁済業務保証金を引き上げる。現行制度では、弁済保証金の分担金は旅行会社の年間取引額などにより決定している。今回は現行制度に加え、海外の募集型企画旅行の取扱額に従って分担金を積み増しする。取扱額が多い会社に対して追加で分担金を徴収するもので、詳細な金額などは今後検討する。

 取扱額が小さい会社については、現在の分担金で弁済率が十分あるとの見通しから、積み増ししない予定。例えば取扱額が50億円の旅行会社の場合、海外の募集型企画旅行が30億円の会社と10億円の会社では、追加で負担する額が異なるという。

 観光庁によれば、毎月に取扱概況を発表している主要旅行会社50社について、全取扱額に占める海外募集型企画旅行の割合は平均で10%程度。分担金を追加する会社の基準については検討中だが、「10%は基準のひとつになる」とした。

 加えて、日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)に対し、旅行会社のボンド保証制度への加入の促進を働きかける。加入の義務化については、「民間法人が立てつけたボンド保証制度への義務化は競争政策上問題がある」との考えから実施しない。このほか、ボンド保証会員マークをツアーのパンフレットに掲載し、制度について消費者に紹介するなど、制度の周知徹底にも取り組む。

 さらに、旅行中に旅行業者が経営破たんした際、旅行者がやむを得ず宿泊料金などを現地で支払った場合、保険金の支払い対象となる特約の開発に取り組む。すでに保険会社と検討を開始しており、2018年4月の商品化をめざす。

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