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旅行業の「再生」へ5つの提言-JATA、リカバリーへ観光庁長官に要望も

  • 2022年6月24日
総会ではJATA会長・副会長が再任。左から副会長の原優二氏(風の旅行社代表取締役)、会長の髙橋広行氏(JTB取締役会長)、副会長の小谷野悦光氏(日本旅行代表取締役社長)、副会長の酒井淳氏(阪急交通社代表取締役社長)

 旅行業再生戦略会議では、「持続可能な旅行業のビジネスモデルの構築」と「高収益構造への転換」を目標に設定。そのうえで、まずコロナ禍以前からとコロナ禍中のそれぞれについて実態を整理した。

存在価値の向上と周知が急務、生産性や人材確保の課題も

 このうち、そもそもコロナ禍以前からの旅行業界の実情としては、「旅行会社の存在価値」「デジタルやサステナビリティの分野での遅れ」「低収益性」「業界全体の協力体制の欠如」などを列挙。

 例えば存在価値では、政府が観光を成長分野と位置付けているにも関わらず、旅行業による地域貢献や経済波及効果について旅行業者自らが正しく認識せず、社会全体への周知も不十分だったと断定。髙橋氏は、「今回のコロナ禍で、旅行業は世の中に必要である、だからなんとか守らないといけない、というような社会の空気やムーブメントを感じたか」と問いかけ、存在価値の向上と社会への情報発信の重要性を訴えた。

 また、収益性については「人海戦術に頼るような非効率な業務が多く存在」して「人の手による付加価値の創出もできていない」こと、業界内の協力体制については「ひたすら競争を優先する風土があり、協力関係を構築する機運が希薄だった」ことを指摘した。

 さらに、コロナ禍での実態でも、雇用調整助成金などの公的支援によってかろうじて事業を存続してきたこと、業界の未来への不安から特に若年層の離職が顕著となり、志望者も減少傾向となっていることなどを挙げた。

 一方、例えば低収益性などの課題は視点を変えれば改善の余地があることを意味し、観光立国の流れも旅行業にとっては追い風。また、コロナ禍でもワクチン接種会場の運営受託などで斡旋力やノウハウが評価されたこと、オンラインツアーで収益を生み出したり非旅行事業に挑戦したりする会員が出たことは「プラスの成果」と評価している。