「ほどよい田舎暮らし」はいかが？ 鍵は関係人口の創出

　「ひがしこうち」には、ここにしかない、ここでしか見られない「ありのままの自然・景色」や、しらす・金目鯛といった新鮮な海の幸、柚子・ナスといった農作物など、ここにしかない「豊かな食の資源や文化」があると考えています。何度でも訪れてもらえる魅力的な観光地域づくりを目指すなかで、地域の伝統工芸や郷土料理、ありのままの自然を体感できるマリンアクティビティや農業・林業・漁業などの体験型プログラムを中心に、世界で初めて本格営業運行を開始したDMV（デュアル・モード・ビークル）などを組み合わせた周遊促進商品といったここにしかない価値を、個人旅行や教育旅行の素材として紹介していきたいです。

道路と鉄道線路の両方を走るDMV

　また、地方でのワーケーションに関心のある企業や個人をターゲットに、様々なニーズに柔軟に対応できるワーケーション関連プランを拡充・提案し、地域に訪れていただくことで、地域のファンを増やし、将来的な二地域居住・移住に繋がる関係人口を創出したいと考えています。

　まだまだ知られていない「ひがしこうち」に興味を持ち、来訪いただくためには、効果的な情報発信が必要と考えています。地域の観光事業者や各自治体との連携を更に深め、お客さまが求める情報をタイムリーに提供できる仕組みづくりや、宿泊・観光施設のオンライン予約システム化の促進など、お客さまにより身近に感じていただける取り組みを進めたいです。また、安芸市内の観光関係以外の事業者にも観光のお客さまがもたらす地域の消費拡大の重要性をご理解・ご協力いただくことで、新たな観光コンテンツの開発に繋げたいです。

商工観光水産課課長　岡林愛さん

1990年に入庁。コロナ禍で地域経済が大打撃を受けた2021年度に商工観光水産課に配属になりました。従前の課では移住促進や地域共生社会の実現に向けた協働のまちづくりなどの業務を経験しました。現在主管する業務は文字通り、商工業、観光事業、水産業の振興に向けた取り組みのほか、ふるさと納税に関する業務など多岐に渡ります。分野は違いますが、いずれも地域の活性化を目指しています。 本市の魅力をより多くの方に知っていただくために、まずは安芸に暮らす住民一人一人に地域のすばらしい文化や伝統、資源について関心を持っていただきたいと考えています。

　安芸市の魅力は何といっても食の豊かさです。温暖な気候と長い日照時間を活かした施設園芸が盛んで、特にナスと柚子は国内トップクラスの生産量を誇ります。カツオのたたきならぬ「ナスのたたき」は、この度、文化庁の “世代を超えて受け継がれ、長く地域で愛されてきた食文化” 「100年フード」に認定されました。素揚げしたナスの上に焼き鯖の身やみょうがなどの薬味を乗せて、さっぱりと柚子ポン酢をかけて召し上がれ。

　国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される武家町「土居廓中」にたたずむお食事処「廓中ふるさと館」では、ナスのたたきのほか、安芸沖で獲れた新鮮なシラスをふんだんに使った「釜あげちりめん丼」など、安芸市ならではの素材を使用した郷土料理を幅広くご堪能いただけます。

ナスのたたき

次ページ ＞＞＞ 安芸ゆかりの偉人にも注目