地域に分け入るJAL社員たち~高知県安芸市編~

  • 2022年5月30日

「ほどよい田舎暮らし」はいかが? 鍵は関係人口の創出

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。

 豊かな自然と日常生活の利便性が両立した、「そこそこなのが心地よいまち」高知県安芸市。観光地としての認知度の向上に向け、市では行政や事業者の枠を越え、地域を巻き込んだ取り組みを進めている。

高知県安芸市

商工観光水産課 釣舩泰弘さん

1998年にジャルセールスに入社。大阪で主に国内の旅行商品の仕入企画・販売などの旅行業務を担当し、2010年からは広島支店・大阪支店にて航空券販売業務、特に旅行会社セールスを担っていました。

2021年4月に高知県安芸市へ出向、商工観光水産課に所属し、体験型観光プログラムの開発や観光素材のPR、高知県東部地域の関係団体との連携による広域観光の推進といった観光振興を行っています。また、地場産品の磨き上げや掘り起こし、ふるさと納税などの商工業の振興に係る業務にも携わっています。

-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 高知県東部は海・山・川に囲まれた自然豊かな地域ですが、私の住む安芸市の市街地は、病院や商業施設が徒歩圏内に揃った生活しやすい環境で、ほどよい田舎暮らしにはピッタリな場所だと感じました。また、すぐ近くの太平洋の海の幸、農耕地帯の農作物の幸、背後に迫る山の幸と、新鮮な食品三昧が楽しめることも魅力に感じました。なかでも地域の特産である柚子が食文化に根付いており、発酵したお酢の代わりに、ゆのす(柚子のしぼり汁)を使ったお寿司などの郷土料理には驚かされました。

 食ももちろんですが、私がお薦めしたいのは、海・山・川といった手付かずの大自然。特に、今年の7月で開通20周年を迎える「ごめんなはり線」から眺める太平洋です。毎日運行しているオープンデッキ列車からは太平洋の潮風をそのまま感じることができます。普通列車ですので、追加料金や予約なしで乗車可能です。また、通常列車を貸し切ることもできるので、団体旅行にもお薦めです。

ごめんなはり線オープンデッキ列車

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。

 観光地域としての認知度向上、地域資源の観光化、受入基盤の強化など、地域における観光分野での課題は山積しています。特に、伊尾木洞や安芸釜揚げちりめん丼をはじめ、高知県東部地域の自然・景色・食といった、ここにしかない魅力がまだまだ知られていないという現状を変えたいと思っています。

 その解決に向け、高知県東部9市町村の地域連携DMOである「高知県東部観光協議会」と連携し、広域観光の推進や情報発信の強化等に取り組んでいます。今年3月から高知県東部地域で使えるCRMアプリ『ひがしこうち公式旅とくアプリ ひひひ!』をリリース、5月からは域内の宿泊者に3,000円分のクーポンをプレゼントする『ひがしこうち おでかけキャンペーン』を展開するなど、県内外の観光客の誘客だけでなく、域内消費の促進を図る取り組みも行っています。

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