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長距離路線の客室一新、フィンエアー日本支社長にアフターコロナの戦略を聞く

  • 2022年3月3日

「プレミアムレジャー」にフォーカス
NDCでは日本マーケットに最適な方法を模索

-NDCの導入に関連して、欧州ではGDSサーチャージの設定が予定されていると伺いましたが、日本での状況を教えてください。

永原 ヨーロッパについては、当初はGDSサーチャージを適用せずにNDCの利用を推進する方向でスタートしたのですが、なかなか導入が進まない状況もあり、NDCを受け入れてくれた旅行会社さんと差別化する意味で、GDSサーチャージの導入を検討しています。

 日本についても、やはり旅行会社さんの準備がまだ整っていません。加えて日本には日本航空さん、全日空さんがそれぞれGDSを広めていった経緯があり、旅行会社さんはNDCについても同様の流れを希望されているのではないかと考えています。特定の航空会社のためにだけに費用をかけてシステムを構築することには二の足を踏んでいるのでないでしょうか。一部先んじて進めている旅行会社さんもありますが、まだまだ時間はかかりそうだと感じています。

-日本国内においてはまだGDSサーチャージなど具体的な動きはないということでしょうか。

永原 はい。AY以外の大手ヨーロッパ系や米系、アジア系航空会社の一部では既に導入が始まっているので、それらの情報も聞きながら、どのような形で進めるのが良いのか模索している状況です。

 NDCの導入は、ダイレクトコネクト、アグリゲーター経由、GDSのアグリゲーター経由という3つの方法に分かれます。恐らく日本の場合はアグリゲーター経由になるのではないかと考えていますが、旅行会社さんにとって一番良い方法を見極めて進めていきたいと思います。

-SDGsへの取り組みについてお聞かせください。

永原 AYでは以前から環境に対する取り組みを続けてきましたが、コロナ禍においてSDGsが取り上げられる場面が増えてきたと感じています。コロナ後の旅の形を考えたとき、恐らくSDGsは今まで以上に前面に出てくるのではないでしょうか。

 SDGsについては、ヨーロッパの方が日本よりも進んでいますので、例えば業務渡航であれば、ヨーロッパの取引先の企業が自社のSDGsの取り組みについて質問をしてくることもあると思います。将来的には、作っている製品がSDGsを踏まえた生産体制を取っているかや、出張の際にどの航空会社のどの経路で来たかを聞かれるケースも出てくるでしょう。アジアからヨーロッパまで最短最速で飛ぶヘルシンキ経由は、直行便が飛んでいない都市であれば最も環境に優しく、また直行便が飛んでいる都市でも、A350で渡航することで環境への貢献度が上がります。

 また、機体の重量を下げることで燃料の消費が抑えられるとお話しましたが、座席だけでなく、お皿など機内食に使う備品の重量を減らしたり、フードウェイストを今年中に2019年レベルより30%削減する目標を立てています。プラスチックの使用も50%削減を目指しています。

-具体的にはどのような方法を取っておられるのですか。

永原 機内食に関しては、召し上がらない食事を用意しなくてすむよう、事前にオーダーしていただくオプションを準備しています。もちろん最低限必要な水などはお渡ししますが、例えばヨーロッパ域内の短距離線においては、コーヒーなどは必要なものを購入していただくようにし、少しでも搭載量を削減していこうとしています。また、エコノミークラスでは機内食に使うプラスチックのカバーをほかの素材に変えたり、ナイフやフォークを木製や紙製に変えたり、プラスチック製品を使う場合もリユースできるものに変更しています。

 こうした取り組みは、ともするとコスト削減のためではないかと取られてしまうこともありますが、ヨーロッパのお客様からは、環境保全につながっているという理解を得られていると感じています。

-ありがとうございました。