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【労務のいろは】まもなく施行! 育児・介護休業法の改正で何が変わるか

 東京都江東区亀戸にある、亀戸天神前(毎朝、亀戸天神の前を通って通勤)で社会保険労務士事務所をしております、社会保険労務士の岡部大介です。2006年に社会保険労務士として登録し、千代田区の社会保険労務士事務所で5年間勤務後、2011年に岡部社会保険労務士事務所を開設。労働保険、社会保険の手続きや就業規則の作成、給与計算、助成金の申請、労務相談対応などをしており、特に労働時間の管理体制構築にはこだわりをもっています。労働環境の変化、度重なる法改正、複雑な助成金制度などを、図などを使いできるかぎりわかりやすく伝えていければと思っています。また私が携わった事例などもお伝えし、お役に立てたら幸いです。

 育児・介護休業法(育介法)とは、正式名を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、育児や介護を行う労働者の福祉の増進を目的とする法律です。近年、女性の就業率の高まり・少子高齢化の進展等により、仕事と家庭の両立支援は社会全体の問題として迅速な対応が求められています。

 その一方で、育介法は頻繫に改正が行われ社内規程の改定が間に合わない分野でもあり、令和3年6月に改正された育介法では、事業主に対し段階的に下記の日程で事業主に対し必要な措置を行うように求めています。

①令和4年4月1日より施行
●育児休業を取得しやすい雇用環境整備
●妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
●有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

①令和4年10月1日より施行
●男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み『産後パパ育休』の創設
●育児休業の分割取得

令和4年4月より施行される育児・介護休業法の改正点

1.育児休業を取得しやすい雇用環境整備(育介法22条)
 育児休業の申し出が円滑に行われるようにするため、次①から④のような雇用環境整備措置のうち、いずれかを行うことが必要となります。

①育児休業(・産後パパ育休)に関する制度の社内研修
全従業員への研修実施が望ましいところですが、少なくとも管理職については研修を受けたことのある状況にすべきとされています。

②育児休業(・産後パパ育休)に関する相談窓口等の設置
この相談窓口は、ハラスメント窓口とは機能が異なりますが、育児休業等に関する相談をすることができることを周知しており、実際に制度の説明等を適切に行うことができれば、一緒でもよいと思われます。

③自社の従業員の育児休業(・産後パパ育休)取得事例の収集・社内提供
男女双方の事例の収集を原則としていますが、対象者がいない場合等、男女の片方のみとなることはやむを得ないとされています。また収集した事例が偏ることによって、特定の職種や雇用形態、性別等によって申出を控えることにつながらないよう十分な配慮が求められています。

④育児休業(・産後パパ育休)制度と育休取得促進に関する事業主の方針の周知
制度や方針を記載したものの配布やイントラネットへの掲示等が想定されます。

2.妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知、意向確認の措置の義務付け(育介法21条)
 本人又は配偶者の妊娠・出産を申出た従業員に対して、会社は育児休業制度等の周知と休業の取得の意向確認を個別に行うことが義務となります。

 この意向確認は、労働者による育児休業の申し出がスムーズに行われるようにすることを目的としており、育児休業の取得を控えさえるようなことは認めていません。意向確認においては、会社は労働者に意向確認のための働き掛けを行えばよいものであり、労働者の育児休業の取得についての具体的な意向を把握することまでは求めていません。なお、当然ですが、育児休業の取得の申し出をしたことで、その労働者を解雇その他不利益な取り扱いをしてはなりません。

 個別周知の内容は、次のとおりです。

①制度内容
②申出先
③育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業期間に負担すべき社会保険料の取り扱い

 個別周知は原則として面談(オンラインでも可)と書面交付で行うことになりますが、従業員が求めた場合にはFAXや電子メール、チャット等で行うことができるとなっています。会社として便利な方法を検討しておくことがよいと思います。また個別周知と意向確認については、厚生労働省のホームページにある参考様式を使うのがよいと思います。

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