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「地域と一体で旅の舞台を作る」豪華観光列車THE ROYAL EXPRESSの仕掛人

  • 2022年1月20日

乗客が主役を演じられる優雅な舞台を
地域の発展と共に鉄道も発展する

 横浜‐下田間を運行する豪華観光列車「THE ROYAL EXPRESS」。「ななつ星in九州」などで知られる水戸岡鋭治氏のデザインによる車両は東急が保有し、横浜‐伊東間はJR東日本、伊東-下田間は伊豆急行の線路を運行している。下田交通ツーリズム活性化委員会が企画したモニターツアーを取材した記者が、THE ROYAL EXPRESSを企画立案し、運行を実現した仕掛人を追いかけた。

THE ROYAL EXPRESS

-はじめにご自身の紹介をお願いいたします。
松田氏。インタビューは横浜駅にある「クルーズプラン」利用者専用ラウンジ、「THE ROYAL LOUNGE YOKOHAMA」で実施した。

松田高広氏(以下敬称略) 東急の交通インフラ事業部事業運営グループで統括部長を務めている、松田高広です。1994年に入社し、東横線と他路線との相互直通運転などのプロジェクトを担当しました。2017年に伊豆地域の活性化事業として「THE ROYAL EXPRESS」の運行を企画立案。車両製作からサービス、旅の企画まで総合的にプロデュースしています。2020年にはTHE ROYAL EXPRESSの北海道でのクルーズトレインも実現しました。

-THE ROYAL EXPRESSについて教えてください。

松田 THE ROYAL EXPRESSは、「伊豆を元気に」「お客様に素敵な旅舞台を」をコンセプトに水戸岡鋭治氏とともに作り上げた観光列車で、来夏で運行5年目を迎えます。

 8両編成の観光列車は日本でも最大級。お客様が主役を演じていただける優雅な舞台を作り、新しい旅を提供したいと考えています。内装は日本中の職人の手によるオーダーメイドで、車内で提供する料理の食材も地元との繋がりを大切にしています。こうした手間をかけた部分に触れ、感動していただきたいという思いが、旅の全体デザインのテーマにもなっています。

 横浜‐伊東間はJR東日本、伊東-下田間は東急グループの伊豆急行の路線を走り、横浜から伊東まではJR東日本の乗務員が、伊東から下田までは伊豆急の乗務員が運転手と車掌を務めています。車内のサービスは東急のクルーが提供します。他社の線路を走り、他社が運営する観光列車は日本ではTHE ROYAL EXPRESSのみで、ダイヤの調整も両社からの承認を得て行っています。

-利用プランにはどのようなものがありますか。

松田 1泊2日、往復利用「クルーズプラン」と、片道利用の「食事付き乗車プラン」があります。往路はどちらのプランも共通で、横浜から約3時間半をかけて、海を眺めバイオリン演奏を聴きながらランチを楽しんでいただきます。下田駅到着後、クルーズプランでは各組に1台ハイヤーを用意し、専属クルーがガイドをしながらご希望に応じたミニツアーを組み立てます。

-車内に乗務していたクルーの方がガイドも担うのですか。

松田 ロイヤルエクスプレス専属として入社したクルーは、旅のガイドから料理のサーブ、音楽の演出、物販や買い付け、地域とのコーディネーターなど、何役も兼ねています。旅の初めから終わりまでトータルでサポートするからこそできるサービスがあると考えています。

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