【コラム】OTAによってこんなにも違う航空券の価格、このカラクリは?本質的な問題は?

  • 2021年11月21日

 先日、知人から「ジャカルタから人を呼び寄せたいんだけど、現地発片道航空券は幾らくらい?」と聞かれ、相場観を知るためにOTAの価格を調べてみました。

フライトは12月27日ジャカルタ発NH836便エコノミークラス
※下記サーチは11月18日の午後に実施

直接OTAを検索する
【日系OTA】
skygate.co.jp:114,440円
skyticket.jp:106,740円
【海外OTA】
traveloka.com:Rp4,040,100≒34,000円
Trip.com:106,860円

メタサーチ(skyscanner.jp)にて検索すると、3万円台では以下の2社
Kiwi.com:33,305円
budgetair.com:33,701円
その他は8.5万円~10.8万円

因みに全日空のサイトでは106,240円

 なぜ最安値と最高値(或いは当該航空会社のサイト価格)に3倍以上の差が出るのか?全日空がインドネシアの旅行会社に何万円にも相当するコミッションを払っているとは到底思えません。

 ここから先は筆者の想像に過ぎませんが、3万円台の航空券は往復割引運賃の帰り便の権利放棄なのかも知れません。ただし、3万円台でも「Reschedule Available」と表記されているものも有ります…こうなると???

 旅行会社は上記のような問合せに対して、GDSや航空会社サイトにて料金を確認し、手数料を加算してお客様にお答えするのが一般的かと思いますし、それが正しく、唯一の方法と認識しています。しかし、もしお客様がメタサーチや海外OTAのサイトの値段をお知りになると、不当に高い航空券を案内されたと思うのでは無いでしょうか?公正な競争であるなら、海外OTAだからと言う理由だけで排除を要求するのはお門違いでしょう。しかし、もし運賃ルールの不適切運用等による不当廉売であるなら、航空会社やIATA等の団体による対処が不可欠です。

 OTAはもはや多くの消費者=旅行者にとって不可欠な存在で、筆者はその存在意義は大いに認めます。しかし、それはあくまでルールを遵守する事が大前提です。先日「旅行業界の人だからこそ話題の旅行系アプリやサイトを使ってみる」と題した柴田さんの寄稿を掲載させて頂きましたが、あわせてOTAやメタサーチのチェックも必要かも知れません。特殊な運賃の有無のみならず、毎日のように改善されているUI/UX、ほぼストレスを感じない表示速度等を実感することはリアルエージェントとして「何」をすべきかを考える上で、知っておくべきだろうと思います。

 また本質的な問題としては、消費者感覚では、往復よりも片道の方が高い、往復で購入した航空券の帰路分を放棄出来ないと言うのは理解し難いと思います。航空会社側には諸々の事情が有るのでしょうが、消費者感覚に配慮した運賃設定そのものの見直しも必要なのでは無いでしょうか。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​