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鰹の町のホッとできる湯宿に-黒潮本陣 取締役支配人 山岡正治氏

  • 2021年11月22日

人気を集める鰹のタタキ体験工房
街歩きの楽しさもアピール

 高知県中土佐町の「黒潮本陣」は、全客室から太平洋の絶景を一望できる湯宿。四万十川源流域に位置し、山も近いことから、高知らしい自然を楽しむ拠点として人気が高い。鰹一本釣りの町として、鰹のタタキ体験など地元ならではのアクティビティを提供するほか、町内には「大正町市場」などが点在し、ローカルな街歩きも魅力だ。「お客様にホッとしていただけるようなサービスを心がけている」と支配人の山岡正治氏は話す。黒潮本陣に多くの観光客が訪れる理由とは?(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

黒潮本陣支配人の山岡正治氏

-黒潮本陣の概要をお聞かせください。

山岡正治氏(以下敬称略) 1996年12月1日に中土佐町の全額出資で開業しました。今年12月で開業25周年を迎えます。年々人口が減少していくなかで、公共の宿として、働く場所の創出、地産地消による食材調達、町外から来ていただける旅行者との交流人口の拡大を目的として建てられました。

 建設にあたっては、町づくり小委員会を立ち上げ、役場やコンサルティング会社だけでなく、町民の意見も取り入れました。おもてなしの仕方についても、そこで議論を行いました。そのなかで、ホテルというよりも、昔大名が泊まった「本陣」のような雰囲気が合うのではないかという話が進み、また、黒潮の恩恵を受けている地域でもあるため、「黒潮本陣」という名前がつけられました。

 開業の際は、今までの公共の宿よりもワンランク上の宿を目指そうと考え、料金設定も平均よりも高めに設定しました。当初は半信半疑でしたが、県外からも多く来ていただきました。スタッフによるおもてなしを一番に考えています。都会のような垢抜けたサービスはできませんが、来ていただいたお客様にホッとしていただけるようなサービスを心がけています。目指しているのは「皆様に愛していただける黒潮本陣」。社長でもある町長も中土佐町の「迎賓館」にと言っています。

 客室は、本館に11室。そのうち和室が8室で定員が5名、ツインの洋室2室、車椅子が使える部屋が1部屋あります。本館とは別に、山手側にコテージが6棟あり、それぞれ定員は8名となっています。コロナ禍ではこのコテージの需要が高まっています。現在3棟の改修に入っており、来年3月までに雨が降ってもBBQできるようにデッキに屋根をつける計画です。

-ご自身の自己紹介をお願いします。

山岡 黒潮本陣以前は、地元のJAで働いており、宿泊業とは全く違う仕事をしていました。開業当初は、地元出身で和歌山のホテルで支配人をされていた方が支配人を務めていました。私が支配人なったのは2002年。40歳の時に、新たな道に進んでみようとの決意から転職しました。

-運営体制を教えてください。

山岡 従業員は「黒潮工房」も含めて27名。中土佐町所有の施設ですが、運営は中土佐町地域振興公社が行っており、従業員もその会社の所属となっています。コロナ禍でも、雇用調整助成金や補助金など活用して、解雇などは行っていません。

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