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鰹の町のホッとできる湯宿に-黒潮本陣 取締役支配人 山岡正治氏

  • 2021年11月22日

人気を集める鰹のタタキ体験工房
街歩きの楽しさもアピール

-コロナ禍の影響はいかがでしょうか。

山岡 コロナ以前の2019年の稼働率は65%ほどで推移していましたが、2020年は47%、2021年はこれまでのところ43%にまで落ちてしまいました。昨年については、「Go Toトラベル」キャンペーンのインパクトは大きく、その実施期間は前年実績を上回りました。

 コロナ禍でも本館の客室単価は変えていません。食事付きで1名あたり平均1万3500円。コテージの単価は本館よりも低く、平日5名であれば、1名あたり平均1万1000円になります。

-コロナ以前の客層を教えてください。

山岡 国内は、県外が60%から70%。近隣の四国、大阪、岡山から多く来ていただいています。県内の35%ほどのなかでも、県外からの旅行者で、高知に来てから観光施設などからここを案内してもらい、来訪される方もいます。大阪からですと、ほとんどの方が自家用車ですね。空港からも1時間弱かかるので、最初から車の方が便利なのでしょう。さすがに東京からは飛行機で来て、空港でレンタカーを借りる方が多いです。

 客室数が限られていますので、団体は少なく、全体的にカップルの宿泊者が多いです。もともと1人旅は少なかったですが、コロナ禍で少し増えた印象です。

 インバウンドについては、台湾と香港が多く、2019年度で230名ほど。昨年と今年はやはりゼロになってしまいました。

-予約の流入経路はいかがでしょうか。

山岡 開業当初から直販だけです。旅行会社やOTAと契約はしていません。客室数が少ないので、今のところは直販だけで販売していく方針です。もちろん、送客していただける旅行会社があれば、グループでもお受けします。

-併設されている「黒潮工房」では、どのような体験ができるのでしょうか。

山岡 中土佐町は鰹の一本釣りが有名な町です。その鰹を中心に町づくりをしていくという方針で、お客様にできるだけ美味しい鰹を食べていただくことを目的に開業しました。こだわりは100%一本釣りで、藁焼のタタキをすぐに食べていただくことです。一本釣りは巻網などとは違い、傷がつくこともない。藁で焼くことで、藁の香りがついてさらに美味しくなります。

 体験では自分で鰹を焼きます。その場で食べてもいいし、真空パックにして持ち帰ることもできます。自分で焼く体験は貴重なもので、「いい旅の思い出になった」という声をよくいただいています。

 以前は地元でも焼いた鰹を一旦氷で締めていましたが、焼いた後すぐに提供してみると、それがとても好評。その後この体験の人気が一気に広がり、遠方からもわざわざ食べに来ていただけることも増えました。

 ピーク時には年間3万1000人ほどが訪れていましたが、コロナ禍では1万4000人ほどに減ってしまいました。そのなかでも今年は特に若者グループが増えた印象です。田舎に憧れる若者が増えているのではないでしょうか。客単価はコロナ以前と変わらず一人1900円ほどです。

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