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【会計士の視点】企業分析の基本は「この会社は何で儲けているのか?」を見ること-ANAホールディングス編

  • 2021年8月2日

4~5年分の利益を1年で失うもののキャッシュは潤沢
事業計画は「楽観的でも悲観的でもなく合理的」と判断

 今回は、ANAホールディングスの2021年3月期の有価証券報告書を中心に、公認会計士である筆者がANAホールディングスは今どういう状況にあるのかを分析したいと思います。また、「会社のビジネスを理解するためには、有価証券報告書のどこを見るべきなのか」というのも、今回は合わせて解説したいと思います。

 筆者はANAホールディングスとの間に特別な関係はなく(ANAの飛行機に乗ることくらいはありますが)、内部情報は一切知りませんが、「外部情報からでもこのくらいのことは分かる」というのも記事を読んでいただければ分かるかと思います。

 なお、当記事はあくまで筆者の私見であり、筆者の所属する団体や、掲載媒体であるトラベルビジョンの見解ではなく、また特定の銘柄への投資の推奨等を目的としたものでもないので、その点はご了承頂ければと思います。

ANAホールディングスのビジネスモデルを理解する

 企業の有価証券報告書を読む時に、まず最初に見なければいけないのは、そもそも「この会社は何で儲けているのか?」という点です。

 当たり前ですが、例えば旅行会社とゲーム会社であればビジネスが全く違い、まず「この会社は何で儲けているのか?」を間違えてしまえば、それ以降の分析は全て的外れなものとなるので、このビジネスの確認は絶対に最初にやるべきです。

 有名な企業でも、例えばTBSホールディングスは営業利益の大部分を不動産で稼いでいたり、サッポロビールやヱビスビールでお馴染みのサッポロホールディングスも同様に恵比寿ガーデンプレイス等の不動産事業で利益をあげている会社で、他にもソフトバンクグループも営業利益が出るかどうかは、ほぼソフトバンク・ビジョン・ファンド1・2などのファンド事業の業績にかかっている等、一般的にイメージされるその会社の事業と、実際の稼ぎどころが全然違うことはあります。

 このように、まずは会社がどこで儲けているかを理解することが大事で、それを見るためには、有価証券報告書や決算短信で絶対記載があるものでは「セグメント情報」の注記部分(単一セグメントであり省略しているというのも立派な情報)、またほとんどの会社で何らかの説明があるのが有価証券報告書の前半の方の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の部分を見ることが大事です。

 ANAホールディングスについてセグメント情報を見ると、セグメント区分は4つあり、

  1. 旅客・貨物等の航空運送を行う「航空事業」

  2. 空港ハンドリング、整備など空港輸送に付随するサービスを提供する「航空関連事業」

  3. パッケージ旅行商品等の企画・販売を行う「旅行事業」

  4. 航空関連資材等の輸出入及び店舗・通信販売等の「商社事業」

と、基本的には全て航空機に関係する事業であることが分かります(その他も一応あるものの、セグメントとして区分されないレベルのもの)。

 そして外部顧客への売上高を見ると、2021年3月期は7162億円のうち航空事業が5717億円、2020年3月期も1兆9585億円のうち航空事業が1兆6587億円と、大部分が航空事業で、セグメント利益で見ても2021年3月期は▲4536億円の赤字(調整前)のうち航空事業が▲4478億円、2020年3月期でも755億円の黒字のうち495億円が航空事業というように、大部分を航空事業で稼ぐビジネスだと分かります。

 そして、このセグメントについてのより詳細な情報が有価証券報告書の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「③生産及び販売の実績」の「a.セグメント別売上高」(P23)に記載があり、航空事業については、以下のような構成になっています。

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