itt TOKYO2024
itt TOKYO2024

韓国の「今」を駐在員の視点から-足踏み状態の感染状況、観光業界各所の現況

 昨年11月からの新型コロナウイルス第3波は、年末のピークから減少へ向かっていましたが、4月上旬には下げ止まり、現在1日の新規感染者数は500~700人の間で足踏み状態となっています。韓国でも変異株の拡散から第4波になる可能性が憂慮されており、より一層の感染への警戒、そしてワクチン接種の加速が望まれます。今回は韓国内における、最新の感染状況、ワクチン接種状況、実施されている規制、観光業界の状況などを、ソウル現地よりレポートいたします。

庶民の中央市場の様子。お店の休業は目立つことなく活発になってきました。

感染状況

 前述の通り第3波は、年末のピークから減少へ向かいましたが、4月上旬に下げ止まり、現在の1日の新規感染者数は500~700人の間で推移しています。心配されている変異株による感染者は、全感染者の25%近くを占めています。特にインド変異株の急速な拡散が憂慮され、インドからの入国制限を実施、インド在住の韓国人帰国希望者は特別チャーター機で韓国へ帰国しました。

韓国全体及び主要都市発生者数(2021年5月18日現在)
感染者 死者数 隔離解除 致命率 総検査者 検査中 総陰性結果
13万2818人 1904人 12万2631人 1.43% 939万5004人 10万3413人 915万8773人

ワクチンの接種状況

 韓国におけるワクチンの接種は、2月26日より新型コロナウイルス専門病院の医療従事者、高齢者療養病院の医療従事者、救急スタッフから開始されました。5月からは65歳以上の高齢者への接種が開始、7月に一般成人へ接種が続き、9月までに全国民に一次接種を完了、11月までに集団免疫を形成することを韓国政府は目指しています。

5月18日発表・予防接種実施状況:
総接種回数(478万5576人)・1次接種者(374万5934人) ・2次接種者(103万9642人)
ワクチンの種類、アストラゼネカ(205万1821人)・ファイザー(262万2330人)

4段階の新型コロナウィルス防疫規制

 コロナウイルス防疫規制は、3月1日から「1.5」「2.0」「2.5」「3.0」の4段階に調整変更されています。この規制は数字が大きくなるにつれて、規制の内容が厳しくなっていきます。現在の首都圏(ソウル・仁川市・京幾道)の防疫規制は2.0段階、その他の地域は自治体により1.5~2.0段階となっています。

首都圏レベル2.0 防疫規制の概要
区分 概要
概念 地域的流行段階と判断
状況 医療体系の通常対応範囲内で地域的流行が2週間以上持続拡大
基準 首都圏平均2週間の感染者数300~500名以下
拡大状況(60歳以上の患者比率、重症患者、病床需要の能力など考慮)
メッセージ 可及的自宅滞在、外出・集会・多重利用施設利用は最大限自粛
集合人員 1グループ4名まで(レストラン・酒店・古宮・観光地など)
罰則 店主300万ウォン、顧客10万ウォンの罰則金
水際対策 空港・港湾入国者PCR検査及び変異種対策のため陰性証明書提出(5歳以下免除)、
隔離2週間

レベル2.0 業種別規制内容
業種 規制内容
交通 マスク着用義務
学校 人員密集度3分の1遵守、換気徹底
企業 在宅勤務奨励
レストラン 営業は22時まで、その後はテイクアウトのみ、記録義務(入店時間・携帯番号)、1時間以内滞在
屋内スポーツ 屋内スポーツ施設は22時~5時の間営業禁止
宗教活動 収容可能席数の20%以内、別途の集会及び会食禁止
スポーツ観戦 収容可能座席の10%以内
クラブ等 22時~5時の間営業禁止

空港の状況

 仁川空港の国内線は通常運行、国際線は韓国が結ぶ協定(ビジネス、留学、親族間移動、政治関連の渡航)のある国、航空各社が販売開始する韓国人向け「無着陸無観光・空の旅」に限り運航をしています。空港内の売店、レストラン、免税店は営業を再開しています。ソウル金浦空港は国内線を除く国際線はすべて運休中です。

航空業状況

 コロナ禍からの景気回復への期待感も重なり、航空貨物量は大幅に増加してます。連日のニュースでは、海運貨物は船舶不足による船運賃の高騰により航空貨物へ相当量が移行し、TAC(グローバル航空貨物運賃指数)は、ある区間では以前の運賃の2倍近くに高騰になり、当面運賃の高騰は継続するものと伝えています。航空貨物を多く扱う大手航空社(FSC)である、大韓航空やアシアナ航空はその恩恵を受け、落ち込んでいる乗客運賃収入の減収をカバーし、好調な業績を当面維持するものと見られます。

 格安航空会社(LCC)も貨物事業の強化を図っていますが、貨物用の機材不足のため全体の売り上げの貨物が占める割合は少なく、当面は大韓航空系の独走は継続するとみられています。

次ページ>>>旅行会社、現地サプライヤーの現況