旅行控え拡大に懸念、事業者支援策の活用呼びかけも-長官会見

  • 2020年2月19日

田端氏  観光庁長官の田端浩氏は2月19日の定例記者会見で、1月に中国・武漢で発生した新型コロナウイルスによる感染拡大を受けて日本の旅行・観光業界が受けている影響や、今後の見通しについて語った。田端氏は質疑の冒頭で、まずは大きな影響として、日中間の航空便数が感染拡大前に比べて7割減少していることを説明。また、中国以外の国からの訪日旅行や日本人の海外旅行・国内旅行についても旅行控えの動きが出ていることに懸念を示し、「2月以降の数字を注視したい」と述べた。

 これまでに実施した施策については、各地方の運輸局などに特別相談窓口を開設したことや、日本政府観光局(JNTO)の公式Twitterおよび微博などで、新型コロナウイルスに関する基本情報や予防法などを発信していることを説明。今後も予防の呼びかけや、風評被害の防止に向けた正確な情報発信などに努める考えを示し、「まずは予防対策などに全力を尽くし、回復期に入る適切な時期で、プロモーション施策などを打てるようにしたい」と方針を語った。国内旅行控えの動きについては「マスク着用などの対策をしっかりとした上で、通常の生活と同様、旅行を予定しているのであればしていただきたい」と希望した。

 そのほかには、13日に政府が「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」をまとめて、日本政策金融公庫などが感染拡大により一時的な事業縮小を余儀なくされている中小・零細企業などへの資金繰り支援を開始したことも説明。「関係する事業者には活用していただきたい」と要望した。観光庁によれば、現時点では対応策の策定から間もないこともあり、旅行会社による申請などの状況は把握していないという。

 なお、2020年度予算による実施を予定していた、中国などを対象とする新規事業「教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進」については、実際に教育旅行を実施するまで1年から2年を要することから、現在の準備期間における大幅な計画変更はないことを説明。中国内陸部などでのJNTO事務所の設置準備についても、現在の調査段階における影響はないとした。

1月の訪日客は1.1%減、韓国が引き続き6割減

 なお、今年1月の訪日外国人旅行者数(推計値)は前年比1.1%減の266万1000人で、4ヶ月連続の減少となった。主な要因は2国間関係が悪化している韓国市場の低迷で、今回も59.4%減の31万6800人と大幅減を記録した。

 27日に政府が団体旅行とダイナミックパッケージの販売を禁止した中国は、22.6%増の92万4800人だった。昨年は2月にあった春節が今年は1月になったことや、連休期間が今年は3日間伸びたことなどにより、新型コロナウイルスによる影響は正確には分析しにくいという。田端氏によれば、現在の訪日中国人旅行者のうち個人旅行者は55%程度。

 その他の東アジア・東南アジア市場はいずれも2桁増と好調で、豪州は単月の記録を更新した。また、韓国とドイツを除く17市場が1月の記録を更新した。