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WOWOW、第1種取得で旅行業本格化、「エンタメツーリズム」追求

285万世帯の会員に高付加価値の番組関連ツアー
コンテンツと企画力で他社と勝負

-商品の価格帯や、ターゲットとする顧客層についても教えてください

菊地氏 小林 価格帯は30万円台から50万円台で、スポーツ観戦ツアーなどはチケット代などを含めると50万円代が多くなると思う。最小催行人数については、人数が多いと高付加価値商品としての満足度が下がる恐れがあるので、6名から10名程度に抑えている。

菊地 価格帯は高めだが、ターゲットは富裕層などではなく「そのコンテンツを本当に好きな人」だ。WOWOW会員へのアンケートでは、旅行をする際の決め手として「価格」を挙げた人はほとんどなかった。会員にはエンターテイメントに対する感度の高い方が多いので、付加価値が高い商品には共感していただけると思う。逆に言えば、ありふれた旅行商品をWOWOWが扱う必要性はないと考えている。

小林 会員のボリュームゾーンである50代と60代が、そのままWOWOWトラベルのコア層になるが、テーマによってファンの年齢層に違いがあり、サッカー観戦ツアーなどの参加者はもう少し若くなる。男女比についても同様で、サッカーは圧倒的に男性が多く、1人で参加される方が多いが、テニスは6割ほどが女性で2人組などが多い。WOWOWトラベルを開始してからは、首都圏よりも地方からの参加者が多いことが分かってきた。

-当面の目玉商品は何でしょうか

小林 ハリウッドで活躍する俳優の尾崎英二郎さんと巡る、映画の世界を体感するツアーや、5月の全仏オープンテニスの観戦ツアーなどがある。滑り出しは上々で、特にスポーツ観戦ツアーについては過去の実績もあるので、好調に集客できている。課題はスポーツ以外の商品だが、尾崎さんの同行ツアーについては、我々が告知する前からソーシャルメディアなどで個人的に発信していただいたこともあり、反応は良い。

菊地 本格的な集客は2月からスタートする。会員への告知はプログラムガイドの2月号から始め、映像による告知も2月から開始する。

-当面の事業規模や、めざす成功の姿などについてお聞かせください

小林 売上高については明らかにできないが、取扱人数については、今年は20から30程度のツアーを販売し、500人から600人程度の集客を見込む。中長期的には、年間2000人から3000人を目標にしたい。付加価値の高い商品であれば市場価格に流されることなく、収益を確保できる値付けが可能だと考えているので、とにかく付加価値にこだわって、利益も出せるようにしたい。

菊地 まずは商品ラインナップを増やすことが大切だが、WOWOWとしては会員に満足していただくことを念頭に置き、腰を据えて取り組みたい。「WOWOWトラベル」はグループ会社のマーケティング部内における「プラスアルファ」の事業として位置づけている。独立した旅行会社を立ち上げてしまうと、最初から売上高ばかりを追いかけることになる。

-「WOWOWトラベル」の開始にあたり、参考にした旅行会社などはありますか

小林 特にはないが、我々と同じ放送事業者である点において、ジャパネットグループのクルーズ販売には注目していた。クルーズ旅行未経験者に対して、映像とナレーションにより従来の旅行会社が伝えられなかった価値を伝えることで、新規に申し込む割合が大きいと聞いている。