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23年度までに100軒展開、加速続けるHISホテル事業の現在

HHH岩間社長に聞く4ブランドの展開
「変なホテル」はインパクトよりも快適さ重視

-目標の達成に向けた戦略をお聞かせください

岩間氏 岩間 そのための手段としてはM&Aもあるだろう。また、チェーン展開を進めるなかで、特定のパートナーと組む方法もある。20年の東京オリンピック・パラリンピックが終わったあとの訪日旅行の需要予測はまちまちで、「年間訪日客数は6000万人に向かう」との予測もあれば「ホテルは供給過多になるのでは」という予測もある。そのなかで、選択肢は幅広く持っていた方が良いと思う。

-大きな注目を集めている「変なホテル」では、さまざまな最新のテクノロジーを駆使して効率的な運営をはかっていますが、今後の展開は

3Dホログラムを採用したフロントのイメージ(写真提供:HHH) 岩間 今年オープンする浅草田原町のフロントでは、実験的な取り組みとして従来のロボットではなく、3Dホログラムを新たに採用する。映画「スター・ウォーズ」でR2-D2が浮かび上がらせたレイヤ姫の立体画像をイメージしていただければ分かりやすいと思う。ロボットとは違って、3Dホログラムは定期的に映像を変えることにより、異なる雰囲気でお客様をお迎えすることができる。

 その後に開業する関西空港では再びロボットを採用するが、浅草田原町での評判が良ければ、次年度以降に開業するホテルにはいずれも3Dホログラムを導入したいと考えている。

-客室についてはどのような工夫をしていますか

岩間 「変なホテル」はコンセプトとして「変わり続けることを約束するホテル」を掲げているので、「最先端技術のラボ」にもなりたいと考えている。たとえば、現在はクローゼット型クリーニング機の「LGスタイラー」などを導入しているが、ホテルでありながら最新の家電を気兼ねなく披露でき、お客様に直接触れていただき、反応を知ることができるラボやショーケースになることも、我々の1つのミッションだと思う。

 また、ロボット技術の進歩に合わせて、さらに「効率的な客室」づくりにも取り組んでいきたい。それはお客様が快適に過ごしやすく、同時に清掃ロボットが掃除しやすい客室で、特に清掃効率の高い部屋の構造や、家具の置き方などについては模索している。省人化のポイントの1つとして、今後は清掃ロボットに注力することになる。

 ただし、クローズアップされているテクノロジーの導入については、「お客様にどれだけのインパクトを与えられるか」よりも、「客室でどれだけ快適に過ごしていただけるか」に資金を注入していく。お客様からは「普通のホテルだった」という声もよく聞くが、客室への評価については、それでいいと思っている。

 ホテルは最終的には寝るための場所なので、ベッドや枕の品質にはこだわっている。今年開業したホテルではフランスベッドのマットレスと、ロフテーの枕を使っている。「ロボットホテル」というイメージから、今後は「デジタル技術を活用したエンターテイメントホテル」へと移行していきたいと考えている。