アメリカン航空、羽田米国線は16便増を期待、「1便でも多く欲しい」

  • 2018年10月10日

業界重視を強調
太平洋線へのLCC参入予見も

アメリカン航空グローバルセールス担当上級副社長のアリソン・テイラー氏

 アメリカン航空(AA)グローバルセールス担当上級副社長のアリソン・テイラー氏らが10月10日、東京でメディアミーティングを開催し、2020年までを目標に検討が進められている羽田空港の国際線枠再拡張について、日米路線に合計16便、米国側に8便が配分されることを期待すると語った。ミーティングは、AAの共同事業パートナーである日本航空(JL)が9日に取引先や顧客企業を対象に主催した謝恩イベントに合わせて、テイラー氏と国際セールス担当副社長のクリス・デグルート氏が来日したことを受けて開催したもの。

 デグルート氏は羽田の再拡張について聞かれ、「日米路線には1日16便、日米それぞれに8便ずつ分配されることを期待している」とコメント。そのうえで、半ば冗談ながら「できることであれば全部欲しい」と語り、同席したアジア太平洋地区副社長のシェーン・ホッジス氏も「AAは過去5年でアジア太平洋路線の座席供給量を倍増している。羽田も1枠でも多く欲しい」と強調した。

アメリカン航空国際セールス担当副社長のクリス・デグルート氏

 発着枠を申請する際の就航先としては、「我々のハブであるダラスやロサンゼルス、シカゴはいずれも可能性がある」(デグルート氏)との考えで、JLと連携しながら検討していく考え。また、羽田路線を考える際には成田路線への影響も重要なポイントとなるが、テイラー氏は「成田路線を縮小することは考えていない」と断言。ホッジス氏も、アジア/北米間を繋ぐハブとして成田にも重要な役割があると評価した。


流通重視、長期的パートナーシップ構築が「明確なビジョン」

 16年9月就任のアリソン氏は、前職がスターウッド・ホテル&リゾートの営業担当副社長という経歴を持つ。アリソン氏の就任以降AAは、例えばNDCの普及策として、GDSサーチャージを徴収する他の航空会社と対照的にインセンティブを用意するなど、旅行業界を重視する姿勢を打ち出して営業体制を強化。日本でも営業チームを増員するなど手を打ってきている。

アメリカン航空アジア太平洋地区副社長のシェーン・ホッジス氏

 この点についてアリソン氏は、「我々は旅行会社やTMCと長期的なパートナーシップ構築を重視するという極めて明確なビジョンを持っている」と断言。その上で、「必要なロードファクターを確保し、望みうる限り高いイールドを実現するために、我々はパートナーと協力する」と語り、今後もNDCの活用を含めて流通を有効に活用したい考えを示した。


サービス・プロダクトの改善に240億米ドル-太平洋でLCCとの競争予見も

 AAはサービスやプロダクトの改良にも注力しており、240億米ドルの投資計画も進めているところ。機材も現在は1週間に1機のペースで退役と納入を続けているといい、機内WiFiの提供や今後はライブTVの導入も予定している。地上でもFlagshipラウンジをニューヨーク、シカゴ、マイアミなどでオープンし、さらに例えば日本路線でJLの知見も活用しつつミシュランの星付き飲食店の監修による和食メニューを搭載するなど、路線ごとのサービス改善も続けているという。

 なお、LCCとの競合についてデグルート氏は、「AAはサウスウェスト航空(WN)とその設立時から競争し様々な経験を蓄積している。昨今はウルトラLCCと呼ばれるスピリット航空(NK)なども出てきているが、彼らへの対抗としてベーシックエコノミー運賃も導入した」と説明。その上で、現在はLCCとの競合は大西洋路線にも広がり、将来的には太平洋路線でも同様の状況となると予測しているとしつつ、AAとしては迎え撃つ体制ができているとの考えを示した。

※訂正案内(編集部 2018年10月10日17時30分)
訂正箇所:サービス・プロダクトへの投資額
誤:2400億米ドル

正:240億米ドル