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大韓航空、日韓路線維持は「プライド」、増便も積極的に

▽仁川乗継、さらに便利に-地道なイメージ回復めざす

金氏  なお、旅客に提供するサービスの向上に関しては、今年1月にオープンした仁川の第2ターミナルについても言及。チェックインから搭乗に至るまで、最新の技術により極力自動化を進めた利便性の高さに加えて、韓国各地の有名な飲食店の支店を集めるなどして魅力を高めていることなどを評価した。同ターミナルには現在、KEに加えて、同じスカイチームのデルタ航空(DL)、エールフランス航空(AF)、KLMオランダ航空(KL)が乗り入れ、仁川空港の全利用者のうち3割程度が同ターミナルを利用しているという。

 今年10月末からは、アエロメヒコ航空(AM)、アリタリア-イタリア航空(AZ)、チャイナエアライン(CI)、ガルーダ・インドネシア航空(GA)、厦門航空(MF)、チェコ航空(OK)、アエロフロート・ロシア航空(SU)も順次乗り入れを開始する予定。なお、KEによれば同空港は、来年4月にはスロットを現在の1時間あたり63回から70回に拡大し、30年までにLCC専用の第3ターミナルを建設する。年間の利用取扱可能人数は世界最大級の1億3000万人にまで増加する見通し。

 金氏は今年から開始した太平洋横断路線におけるDLとのジョイントベンチャーについては、米大陸290都市以上とアジア80都市以上を網羅するネットワークの拡大による、収益拡大に期待する考えを示した。両社は8月末には日本の5都市と仁川を結ぶコードシェア便を7便追加し、日韓間のコードシェア便を計15路線・週約300便(片道ベース)に増やしている。

 そのほか、今年中に1000万人達成を実現すると見られている日韓交流人口については「双方向のバランスが取れていないと路線維持は難しい。業界の努力だけでは限界がある」と述べ、日本政府の海外旅行振興施策に期待した。日本政府観光局(JNTO)によれば、18年1月から7月までの訪日韓国人旅行者数は前年比14.5%増の462万人。昨年は朝鮮半島情勢の影響により伸び悩んだ訪韓日本人旅行者数も、今年は20.2%増の約154万人と大きく回復しているが、依然として差は大きく開いている。KEの日韓路線の利用者も、現在は7割を韓国発が占めるという。

 ここ数年、経営者一族のスキャンダルなどによりイメージダウンが続いたことの影響については「日本市場でもある程度の影響はあったと思うが、一部の根拠のない報道にあるように、大きく数字が落ち込んだわけではない。収益減の要因には燃油高などもある」と説明。「KEのイメージが一時的に悪くなったとしても『もう使わない』とまで思う人の割合は限られると思う」との見方を示した。今後については「悪かった部分は認めた上で、再び広告展開やメディアでの露出、パッケージツアーなどで利用者にアピールしたい」と語り、地道に回復をめざすとした。