WIT2017開催、今年は489名来場-アジアのOTA市場に期待

  • 2017年6月11日

▽オンライン旅行市場、アジアは今後も「大きな成長」

フォーカス・ライトのマギー・ラウチ氏  9日に開催された講演会「オンライン旅行市場の今」では、フォーカスライトのシニアリサーチアナリストを務めるマギー・ラウチ氏がオンライン旅行市場の現況について解説した。同社の調査によれば、16年の世界全体の旅行市場規模は1兆2600億米ドル、17年は5.6%増の1兆3300億米ドルとなる見込み。このうち航空券などをインターネットで予約するオンライン旅行市場は、16年は5130億米ドル、17年は10.5%増の5670億米ドルに成長するとし、「特にアジアで、大きな成長が期待できる」と話した。インドネシアやインド、中国などの伸び率が高いという。

 同氏はオンライン旅行市場における地域別シェアでは、米国、アジア太平洋、欧州が上位3市場となっていることを説明。3市場の合計を100%とした場合、16年のシェアは米国が39%、アジア太平洋が31%、欧州が30%となったが、20年にはアジア太平洋が37%に成長し、米国は35%、欧州は28%となる予想を示した。それぞれの市場の牽引力としてはミレニアル世代を挙げ、「デジタル端末を使いこなすし、個人旅行もする。LCCや民泊も利用する。新しい流れを作り出している」と話した。

 オンライン旅行市場における注目すべきテーマとしては「モバイル」「OTA」「民泊」「チャットインターフェイス」の4つのテーマを挙げ、このうち「モバイル」は中国市場の伸びが著しいことを強調。世界のオンライン旅行予約のうちモバイル経由による予約は24%を占めているが、中国においては5割以上を占め、特に18歳から24歳までについて6割を占めていることを説明した。

 「OTA」については、アジア太平洋での利用者数が多いことを説明。旅行者がホテルをオンライン予約する場合、米国では51%がOTA経由、49%がホテルのウェブサイトでの直接予約となっているが、アジア太平洋ではOTA経由が71%に上ることを紹介し、今後のOTAの成長に期待を示した。特に若者がOTAを使う傾向が高く、航空券の予約についても同様の傾向が見られるという。

パネルディスカッション「武士道精神の再創造」の様子  「民泊」については、若者の利用者が多くを占めることを紹介。中国でも着実に市場が成長していることを伝えた。「チャットインターフェイス」については、LINEやWeChatなどで旅行体験を共有する旅行者が増えていることを説明。一方で、チャットで商品を購入するサービスについては、「すでにエクスペディアなどが試みているが、現在の旅行業界では難しい状況」との見方を示した。

 このほか、日本のOTAが参加したパネルディスカッション「武士道精神の再創造」では、楽天トラベル、じゃらん、一休、i.JTB、reluxからそれぞれ代表者が登壇。海外のOTAとの競争や、AIやアプリの活用などについて議論した。


※講演やパネルディスカッションの詳細は後日掲載予定