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変化する需要を分析し、チャンスを拡大-訪日シンポ

年間4000万人・8兆円時代に向け
改めて課題や展望を議論

訪日需要のビジネスチャンスは豊富
十分なマーケティングを

会場の様子  劉氏は参加者に対し「覚えておいて欲しい点」として、「訪日中国人の行動は多様化しているので、一括りにして考えることはできなくなってきた」と述べた。その上で、訪日中国人の多くに共通することとして、「消費意欲はあるのに消費できるモノやコトがないという声をよく聞く」と説明。「特に夜の時間を持て余している人が多い。客単価の高いナイトライフにはビジネスのチャンスがある」と強調し、参加者には需要の取り込みをはかるよう呼びかけた。

 あわせて、越境ECで日本製品の販売にも注力する必要性を指摘。劉氏は「中国で成功するには知名度と信頼性が必要だが、日本製品の知名度は抜群」と述べるとともに、「実際に日本を訪れた際に食べたり使ったりして満足したものは、ソーシャルメディアなどを通じて拡散されて新たな需要につながる」と語り、帰国後のフォローの重要性も示した。

 マゼンク氏は、今後の訪日需要の拡大においては複数のマーケットを獲得し、リスクを分散することが必要であることを説明。加えて、「日本に来る人は皆、日本文化が好きだが、『日本文化とは何か』という問いの答えは人によって違う」と述べ、十分なマーケティングをおこなうことが必要とした。

 大西氏は、劉氏とマゼンク氏の意見に同意した上で、「十分に地方へと分散していない現在でも、年間の訪日外国人旅行者数は2400万人を超えている。これが(政府が30年の目標とする)6000万人に達すると、自動車産業の規模を超える」と述べ、観光業界に大きなビジネスチャンスが来ていると主張。「これからは6000万人をめざして、しっかりとした分析を基に、『地方創生』ではなく『地方強化』をしていきたい」と意欲を示した。