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訪日4000万人時代に向け持続可能な観光を-ツーリズムEXPO

アクセシビリティの改善や危機管理が重要
DMO活用で地方に誘客

セキュリティ強化に向けグローバルに協力

スコースィル氏  フォーラムでは、リファイ氏が自然災害やテロ事件などに関して、グローバルでの危機管理の重要性を指摘するとともに、「天災や人災で苦しむ地域への旅行を避け、被害にあった地域を苦しめることは止めるべき」と強調。テロ事件や地震などの天災に過剰に反応することがないよう呼びかけた。

 スコースィル氏も「テロの脅威にどう対応するかが重要。『持続可能な観光』ができる国はテロの脅威に強い」と訴えた。テロ事件が旅行業に与える影響は「限定的」だが、国の安定性や政府の対応、攻撃の対象が観光客かどうかなどで影響の度合いが変わるという。同氏は例として15年にチュニジアで発生した観光客襲撃事件を挙げ、「ツーリズム業界が痛手から立ち直るまで2、3年かかった」と説明。一方でターゲットがランダムだった、昨年のパリや今年3月のブリュッセルでのテロ事件は「正常化するのは比較的早いのでは」と話した。

 同氏は「世界のどこで事件が起きるかわからないなか、グローバルな対応が必要。あらゆるセクターが集まり、グローバルな解決を求めていかなければならない」と主張。テロ事件を受けて政府が国境を封鎖し、ビザを制限するなどの動きもあるとしながらも「観光は経済的・社会的に強い役割を担っている。政府が安全を確保しながら、いかに観光客に『開かれた国境』を提供するかが課題」と語った。

マンテイ氏  フランス観光開発機構のマンテイ氏は「15年はテロの影響は少なかったが、16年はブリュッセルやニースでのテロ事件で、観光に影響が出ている」と振り返り、日本人旅行者は治安に非常に敏感であることから「すぐに旅行をキャンセルする。需要の回復も遅い」と語った。しかし、ここ最近は「パリへの旅行者は減少したが、フランス東部や南部への旅行者はFITを中心に徐々に増えてきた」といい、ハイキングやサイクリングなどのテーマ性の強い旅行も人気が出てきたことを説明。旅行会社に引き続き協力を求めた。

プーヌーサミー氏  プーヌーサミー氏は航空会社の立場から「安全とセキュリティは航空会社の事業の中心。就航先の安全も我々にとって非常に重要」とコメント。「政府間でグローバルに協力し、効果的なセキュリティシステムを導入するとともに、セキュリティのレベルを高めて欲しい」と話し、テロ事件や事故などを未然に防げるように協力する必要性を説いた。

 田川氏は「旅行会社は天変地異の際は『復興に取り組もう』と考えるが、テロ事件についてはあまりそう考えず議論が散漫になる」と指摘。政府が掲げる30年の訪日外国人旅行者数6000万人達成のためには「世界の観光の潮流を理解して政策を立案しなければならない。今後そういう議論していくべき」と述べた。