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訪日4000万人時代に向け持続可能な観光を-ツーリズムEXPO

アクセシビリティの改善や危機管理が重要
DMO活用で地方に誘客

訪日30年6000万人達成に向け、地方への需要分散を

本保氏  フォーラムでは本保氏が、政府が掲げる20年の訪日外国人旅行者数4000万人、30年6000万人の目標について「リアリティはあるのか。また、達成するために何が必要なのか」とパネリストに質問した。これに対し、リファイ氏は15年の訪日外国人旅行者数が前年比47.1%増の1973万7400人となり、今年も1月から8月の累計で24.7%増の1605万9500人と成長し続けていることに対し、日本政府やツーリズム業界の取り組みを評価。30年の訪日外国人旅行者6000万人について「可能だと考える。(達成を)約束してもいい」と力強く語るとともに「政治的な意図の存在がツーリズム業界の変革に繋がる。後は成長を恐れずに目標に向かい進むことが重要」と話した。

 スコースィル氏は、目標達成に向けた取り組みとして「人材育成」「大都市の宿泊不足の解消」「首都圏2空港の容量拡大」「訪日外国人旅行者の地方分散」の4点を列挙。このうち大都市の宿泊不足については「シェアリングエコノミーへの支援は重要。規制は必要だが、訪日客の需要に合わせて宿泊先を選べるようにすることで、地方分散につながる」と語った。

田川氏  田川氏も「訪日客の需要は3大都市圏が高いため、地方に広げたい」とコメント。「日本各地にDMOが根付くことで、新しい日本の体制ができる」ことから、各地方で官民協働でのDMOの設立や、そのための人材育成が必要である旨を語り、成功例として長野県飯田市を中心とした5市村と地元企業10社の出資により04年に設立された第2種旅行業の「南信州観光公社」などを挙げた。さらに、地方の出国率の少なさを課題として挙げ、双方向での交流の必要性を説いた。

 このほか、登壇者からは19年の日本でのラグビーワールドカップや20年の東京オリンピック・パラリンピックについて、「日本の認知度を高める素晴らしい機会」との意見が挙がった。スコースィル氏は「オリンピックを(後世に続く)『レガシー』として最大限活用すれば効果は大きい。国に対する投資も増え、観光客が多く訪れる」と語った。田川氏は2つのイベントを「大きな節目」と捉え、政府と民間が積極的に意見交換することを提案。「地域の人々をDMOなどを通して民間が巻き込む」ことで、国全体で観光立国に取り組む必要性があると話した。

※訂正案内(編集部 2016年10月20日10時04分)
・訂正箇所:第1段落2文目
誤:今年も1月から8月の累計で5.5%増の1117万2600人と・・・

正:今年も1月から8月の累計で24.7%増の1605万9500人と・・・
お詫びするとともに訂正いたします。