訪日市場を取り込む-全旅(3) 「コース」と「ルール」が必要

  • 2016年9月6日

 研修会ではインバウンド事業をすでに行っている事例も紹介された。

先進事例に学ぶ

 岩手県北観光(岩手県盛岡市)は、地域交流の一環で20年ほど前から中国人の受け入れ業務を始めた。1年前にはインバウンド推進室を立ち上げ、英語や中国語ができるスタッフを常駐させている。

 同社の相馬高広営業企画部長は「台湾の旅行会社から地上手配を依頼されることが定着した。田舎に行ってみたいという外国人を東北へ連れてくるのが売り。東京より1カ月遅い桜のシーズンや、祭りの桟敷席を用意するなど、地元の旅行会社ならではのきめ細かな手配を心掛けている」。東北だけではなく、東京や北海道を組み合わせて商品設定していることなども紹介した。

 JWTジャパンウインズツアー(長野県佐久市)は、台湾の大手旅行会社7社と取引している。年間で3万人以上の台湾人観光客を受け入れ、そのうち立山黒部アルペンルートだけで半数近くになるという。ただ台湾の景気が後退し、円高傾向や宿泊料金、バス代の値上げが響き始めているという。上原道徳社長は「やはり魅力的なコースをつくることが大事。LCCで若者市場を開拓することも進めている」など、日本側からの提案が大切だと説いた。

 さらに「我々旅行会社が生き残っていくために、日本人がしっかりとエスコートしなければならない制度が必要だ。バス代を前金でもらうようにすることも必要」と、具体例を交えて上原社長は指摘した。

 意見交換では、インバウンドの受け入れに際して日本の旅行会社が主導権を持てるよう、制度設定を含めて全旅がけん引できるよう、今後も継続的に研修会などを開催していくとした。

 (トラベルニュースat 16年8月25日号)

(16/09/05)


情報提供:トラベルニュース社