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東京検疫所、リオ五輪前に改めて強調「感染症対策はCSR」

  • 2016年7月12日

▽旅行会社はツアー参加者の安全配慮も

東京医科大学の濱田氏  また、14年に日本国内でデング熱が流行した事例について振り返るとともに、「もしも企業の海外勤務者が感染症を持ち込んだりすれば、社会的な責任問題に発展する可能性がある」と指摘。企業は感染症の流入阻止だけでなく、感染症の拡大防止と制圧にも貢献する責任があると述べ、「感染症の被害者は加害者にもなる、という気づきが必要」と強調した。

 講演後に本誌の取材に応えた濱田氏は、添乗員などのスタッフを現地に派遣する旅行会社は、これらの感染症対策に真剣に取り組む必要があると説明。同時に、ツアー参加者の健康管理や安全配慮にも努めなくてはならないことから、責任は大きいとの考えを示した。

 続いて、現地の医療事情などを解説したジェイアイ傷害火災保険営業企画部サービス企画課長の加藤修氏も、海外旅行保険の活用に加えて、情報収集や予防接種などの重要性を強調。感染症の国外流出または国内流入で、日本企業が社会的責任を追及された例も紹介し、「今の日本は『不寛容社会』に突入しているので、最大限の事前対策が必要」と呼びかけた。

 東京検疫所検疫医療専門職の永井周子氏は「渡航前後の感染症対策」と題した講演を実施し、厚生労働省検疫所(FORTH)や外務省のウェブサイトを活用して最新の情報を収集することを推奨。ジカ熱やデング熱については、日本から比較的近いタイやフィリピンなどの東南アジアでも流行していることを説明し、注意を呼びかけた。