itt TOKYO2024

地域に眠る素材で国内観光の再活性化を-ツーリズムEXPO

  • 2015年12月15日

地域ごとの連携で国内観光を促進
企画力で魅力を引き出し、コンテンツを発信

官民一体で広域連携を展開
取り組みの成功にはテーマ性が重要

パネルディスカッションの様子 プレゼンテーションに続いて実施されたパネルディスカッションでは、登壇者が国内観光の活性化における地域連携について意見を交わした。モデレーターを務めた矢ヶ崎氏は「地方創生の成功のためには、魅力的な旅のコンテンツの企画に加え、(コンテンツを)広く発信していくための体制作りや方法が必要」と改めて地域連携の重要性について指摘した。

 これを受けて、福武氏は「広域連携には『(1つの)エリアとしての連携』と『他の地域との連携』の2種類がある」と説明。直島のように「エリア」として連携するためには地域住民の理解を得る必要があり、長い間継続することが必須である点を強調した。加えて、直島1島から始めた取り組みが現在では瀬戸内海の14の島々に広がっていることを説明し、「地元の人は『本当にうまくいくのか?』という疑念を抱くが、成功モデルを示すことで、周辺地域でも一気に協力を得やすくなる」と成功の秘訣を語った。

三重県知事の鈴木英敬氏
 鈴木氏は、広域連携には「テーマ性やストーリー性を持たせることが重要」と強調した。同氏は県外との広域連携の例として、「海女」をテーマに岩手県と展開した観光プロモーションを紹介。また、長野とは「食」をテーマに、三重県の海産物と長野県の特産品である白ワインを組み合わせたプロモーションを実施したことなどを説明した。そのほか、県内での連携では各市町村と協力し、「実はそれ、ぜんぶ三重なんです!」キャンペーンで県全体のガイドブックと県内を5ブロックに分けたガイドブックをそれぞれ発行したことを紹介。連携を成功させるためには、「県は外から来てもらうための『発地対策』をおこない、県内での『着地対策』は地元の協議会などに委ねる」など、役割分担をおこなった上で体制を作ることが重要であると語った。

 清野氏は福武氏や鈴木氏の意見を受け、「各地域で『地域を活性化させなければ』と考える人は行政だけでなく、民間や個人でもたくさんいるはず」と指摘。「上手く連携して地域ごとの観光を育てていかねばならない」と地方創生に向けた観光業の取り組みについて総括した。