トップインタビュー:ジャルパック代表取締役社長の藤田克己氏

ジャルパックならではの高品質な旅を訴求
女性、1人旅、ウェブ販売強化も

-ウェブサイト経由の販売も強化されていますね

藤田 JLではウェブ戦略の一環としてサービスレベルの引き上げをはかっている。5月からは「JALダイナミックパッケージ」国内商品で予約の締切を出発前日までに拡大し、オプショナルプランの申し込める内容を増やした。スマートフォンサイトもリニューアルしたところだ。

 また、国内ダイナミックパッケージ強化の一環として、ジャルパックでは同商品を扱うチームを「国内企画商品第3事業部」として独立させた。会社としてもダイナミックパッケージは大きな収益基盤の柱と考えている。

 こうした取り組みは、ウェブサイト経由の直販の増加を踏まえたもの。販路をパンフレットのホールセールによる旅行会社経由と、JMB向けツアーを含むウェブサイト、コールセンターなどの直販、じゃらんや楽天と共同で展開しているダイナミックパッケージとに分けると、その取り扱いの比率は5対5。国内は旅行会社経由が5割を下回っており、ウェブサイト経由を中心とした直販は前年比20%増と増加している。

 ウェブサイト経由の販売への取組強化は、時代の流れを受けて実施している部分もある。我々は依然として、旅行会社との関係を重要だと考えている。旅行会社はお客様の声を直接伺うことができる窓口だ。また、旅行会社からは旅行業界で何が起きているのか、生の声を聞くことができる。以前よりも直販は増えているが、我々があくまでもホールセラーであるという位置づけは変わらない。ただし、ウェブサイト経由の販売の増加を踏まえ、パンフレットの造成は、種類や商品数はこのままでいいのかといったことを適宜見直す必要が出てくるのではないか。

 ウェブサイト経由の予約動向を見ると、海外は国内ほどウェブサイト経由の販売へのシフトが進んでいない。国内旅行は航空券とホテルを組み合わせた単純なもので、出張などで利用されている商品も多くあるため、ウェブ化が進むのではないか。海外旅行の場合はやはり店舗が重要で、特に添乗員付きツアーや、ヨーロッパなど複雑な旅程のツアーはウェブサイト内で完結できるとは限らないだろう。

 また、「ジャルパックが厳選して贈る いい旅、あたらしい旅」やジャルパックならではのツアーなど、付加価値が高い商品はパンフレットがあったほうが良い。パンフレットによる旅行会社経由の販売と、ウェブサイト経由の販売はこれから二極分化していくので、ジャルパックとしても取り組んでいきたい。


-インバウンド需要が増加しておりますが、貴社での取り組みは

藤田 インバウンドに対する取り組みは、ジャルパックとしてはほとんど実施していないのが現状。今後の課題の一つとして認識しており、単年度ではなく、中長期的にどうしていくのか、検討しているところだ。

 また、インバウンドが増加傾向にある中で、国内の仕入れが難しくなってきている。東京のホテルのレートが上がっており、北海道や札幌のホテルも非常に取りづらい状況だ。

 こうした状況の中、仕入れの強化は今年の1つのポイントになると考えている。4月1日の組織改正では、札幌と沖縄に仕入れセンターを置いた。

 今までを振り返ると、ジャルパックとして、地方のホテルや施設とのパイプが希薄になっていたのではないかと思う。仕入れのため、宿泊施設とのコミュニケーションを強化し、強固な関係性づくりが重要だろう。我々は宿泊施設を含む取引先を対象とした表彰制度「JALパックアワード」を今年から開設した。仕入先との関係強化の1つのツールとして実施したもので、こうした取り組みをおこなうことで、仕入れの強化につなげていきたいと考えている。

-ありがとうございました