3月出国者は4.2%減の153万人-久保氏、中韓と共同で観光振興を

  • 2015年4月22日

 日本政府観光局(JNTO)によると、2015年3月の出国日本人数(推計値)は前年比4.2%減の153万人だった。1月からの累計では5.3%減の402万7600人。観光庁長官の久保成人氏は4月22日の定例会見で、出国日本人数について「全部が縮小、というよりも中国、韓国への旅行が伸び悩んでいる」ことが減少の要因と指摘。「中国、韓国とは政治的にも厳しい環境が続いているかもしれないが、観光交流という意味では、交流を強化していく方向で努力したい」と語った。

 4月12日には日中韓の観光担当大臣の会合が4年ぶりに東京で開催されており、共同で声明を発表。2020年の域内観光交流人口3000万人を目標に据えるとともに、観光促進のため「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」を実施する計画とした。久保氏は「実質的な議論ができ、中身がある共同声明を取りまとめられた」と振り返った。

 その上で「一番の課題は日本。日本発の中国、韓国への渡航者数が減少傾向にあるのをいかに増加させるかがポイント」であると語り、観光庁として協力していく姿勢を示した。特に2018年の平昌オリンピック・パラリンピックは「大きな時期的な区切りになる」ことから、平昌五輪を見据えて早めに活動していきたいとした。

 また、同氏は中国、韓国旅行について、中国は北京と万里の長城、韓国はソウルでの買い物、といったように、特定の地域に訪問者が集中していると指摘。「ワンパターンの観光資源ではない売り出し方、ルート構成を考えなければならない」と述べ、相手国と協力して2国への旅行を増やしていきたいと語った。今後はビジット・イースト・アジア・キャンペーンとして、共同でヨーロッパの旅博に参加するなど共同でのプロモーションを実施する方針。実務者レベルで具体的な手法について今後協議をおこなっていく予定だ。