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着地型観光、テーマで「編集」を-地域全体での連携重視

  • 2014年11月11日

地域資源をテーマで活性化、地域全体の連携ポイント
地方創生で観光庁が積極支援、人材確保が課題に

 ツーリズムEXPOジャパンでは、業界日の9月26日に国内旅行シンポジウム「着地型観光による国内旅行需要創造」が開催された。政府の日本再興戦略で地域創生が大きく取り上げられ、観光が地域活性化に果たす役割が重要視されるなか、着地型観光への取り組みは今後いかに進めていくべきか。シンポジウムでは着地型観光の推進策や人材育成について、登壇者がそれぞれの立場から今後の課題や取り組みを語った。

パネリスト
日本観光振興協会 常務理事 丁野朗氏
北海道 ニセコ町長 片山健也氏
観光庁 観光地域振興部 観光資源課長 長崎敏志氏
海島遊民くらぶ 代表取締役 江崎喜久氏
モデレーター
日本旅行業協会(JATA)国内旅行推進委員会着地型WG、ジェイティービー旅行事業本部 観光戦略部長 加藤誠氏


多様な視点で観光資源を編集
地域全体での取り組みが重要

日本観光振興協会常務理事の丁野氏
 シンポジウムではまず、日本観光振興協会の丁野朗氏が基調講演を実施。市場動向として、消費者の観光に対する価値観や行動が変化し、旅先での生活や日常、地域の人々との交流が重視されるとともに、個人や小グループの旅行が増加し、それぞれがテーマを重視する「一億総おたく化」時代が訪れていると説明した。

 こうした中、着地型観光として地域の持つ観光資源を、産業やグルメ、スポーツ、芸術など多様な視点で「編集」し、ストーリー化していくことが重要と指摘。編集した観光資源を安定的な事業モデルのもと、地域共同でプロモーションしていく必要性を説いた。

 丁野氏は着地型観光には新資源の発掘と、既存資源のリノベーションが必要と提言した。新資源の発掘は、編集の視点を変えることで、今まで観光資源と考えられていなかったものが資源化するという。例えば瀬戸内芸術祭では人がほとんど立ち寄らなかった犬島で、活用されていなかった精錬所を新たに美術館として再生。芸術祭の中でも人気のスポットになった。

 従来の観光資源については「観光は装置で一度作ってしまうとなかなかそう簡単に変えられない。装置が客の価値観との間にミスマッチすると、古臭い、感動しない」とし、顧客の視点で資源をリノベーションし、編集する必要性を説いた。

 また、丁野氏は観光における地域連携の重要さを強調。交通インフラや観光資源の活用保全、宿泊、飲食、観光関連施設などの地域の受け皿の整備、旅行会社などによる集客や送客のサポート、行政による仕組みづくりなど「地域の総合力が試される」とした。