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豪州、食とワインで誘客強化、GK便で地方発に期待も-ATE14(1)

  • 2014年6月30日
(左から)TA本局局長のジョン・オサリバン氏、日本・韓国地区局長のアンドリュー・ライリー氏

 5月にケアンズで開催された「オーストラリアン・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2014」で、オーストラリア政府観光局(TA)は2014年から、食とワインに焦点を当てた「レストラン・オーストラリア」キャンペーンを開始すると発表した。各州の観光局からは自らの地域で提供可能な体験への自信や要望が聞かれ、期待の高さが窺えた。また、各州では日本市場での活動に温度差が出始めているが、ジェットスター・ジャパン(GK)の国内線拡充など新しいチャンスも見出している様子。ATE会場で聞いた各州の現状や戦略を伝える。


▽TA、50万人復活へ、業界重視の姿勢鮮明に

ATE開幕にあたり挨拶するオサリバン氏

 TA本局局長のジョン・オサリバン氏はインタビューに対して、日本市場がオーストラリアの観光産業の成長にとって「鍵」であると強調。長期的な苦戦にも「改善に向け最大限の努力」を続ける考えだ。

 日本・韓国地区局長のアンドリュー・ライリー氏も、オーストラリアへの日本人旅行者の数が出国者全体の約2%であるところを「18ヶ月以内に3%に引き上げたい」と意欲的。日本人出国者が1800万人であれば54万人という野心的な目標だが、達成に向け「需要の拡大」のほか「路線網の拡充」「旅行業界との関係強化」に注力する。路線網は、「2015年の下半期には新しい航空サービス、新しい座席供給が期待できると強く確信している」という。

 また、旅行業界への働きかけでは、来年3月に訪日ミッションを再開。以前は「ジャパン・オーストラリア・ミッション(JAM)」として実施していたが、新たに「オーストラリア・インダストリー・イン・ジャパン(Australia Industry in Japan、AIJ)」を開始する。

 AIJでは、現地の観光関係者が日本市場を肌で感じられること、ATEなど現地開催の商談会よりも多数のバイヤーを集められることを評価。さらに、「オーストラリアの旅行業界が常に日本市場に対して真剣であることを示す」(ライリー氏)機会として重要との考え。

 さらに、ツーリズムEXPOジャパンへの出展や、教育プログラム「オージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)」の再スタートも計画。従来のASPは従来19ものモジュールがあり複雑で、内容も日本市場で求められる情報が不足しているとの認識のもと改善する。

▽レストラン・オーストラリア、日本市場では「ローカライズ」

 TA本局が2014年度の活動のハイライトと位置づけるのがレストラン・オーストラリア。オサリバン氏によると、オーストラリアをフード&ワインのデスティネーションとして認識している人の割合は「未訪問の方では26%、一度でも訪れた方では60%」で、キャンペーンにより認知向上と集客をめざす。

 日本では市場に適した形での展開を計画。ライリー氏は「キャンペーンというよりアプローチ」であるとし、今後のTAの活動すべてにレストラン・オーストラリアが横串のように関わっていくと説明する。

 各州観光局などからは、「プロモーションには期待しているが、オーストラリア人や一般消費者の判断ではなく、ミシュランなど客観的な評価が必要」といった声が聞かれたが、ライリー氏はこれについて理解を示し、例えば著名シェフやタレントを起用した展開などを進める方針を語った。