観光庁、地域経済活性化支援機構と連携、観光で活性促進めざす

  • 2014年5月28日

観光庁長官の久保成人氏(左)と地域経済活性化支援機構代表取締役社長の瀬谷俊雄氏 観光庁と地域経済活性化支援機構は5月28日、観光を軸とした地域活性化モデルの構築に向け、包括的連携協定を締結した。訪日外国人旅行者2000万人の目標を掲げ、経済効果を全国に波及させたい観光庁と、観光産業の振興を通じて地域活性化をはかる同機構が連携することで、地域経済の活性促進における相乗効果を期待する。観光庁はあわせて、インバウンド推進の担い手の拡大や、訴求力のある観光地域づくりも進めたい考え。

 観光庁と官民出資機構が包括的な連携協定を締結するのは、今回が初めて。同日に開かれた発表会見で観光庁長官の久保成人氏は、「機構と連携することで問題解決の手段やツールが具体的になり、大きな相乗効果が期待できる」と意欲を示し、早急に実務者レベルの会合を設けたい考えを述べた。同機構代表取締役社長の瀬谷俊雄氏も「これからの地域活性化は、移動人口や観光人口をどう捉えていくかがカギ。今回の提携では最高のパートナーを得られた」と期待を寄せた。

 同機構は、2009年に「企業再生支援機構」として設立された官民ファンド。当初は中小企業などの事業再生支援をおこなってきたが、2013年3月に地域経済活性化事業活動の支援もおこなう現機構へと改組された。今年の1月には、紀陽銀行と共同で和歌山県の観光に特化した「わかやま地域活性化ファンド」を設立。それ以後も「観光活性化マザーファンド」や「青函活性化ファンド」など、さまざまなファンドを設立している。

 両者は当面の連携事項として、観光資源の整備や新たな観光商品の開発、地域からの情報発信、移動・滞在環境の整備、人材育成などを掲げ、地域活性化の成功モデルの確立をめざす。観光庁は観光政策の企画立案や実行支援、事例やデータなど観光情報の蓄積、各省庁や自治体との連携など、政策の実行と支援に関する業務を担う。一方で同機構は、観光ファンドの組成や事業者に対する投融資など、事業者に対する支援業務をおこなう。

 今後、両者は定期的に情報や意見の交換をおこない、それぞれの機能を活かした支援策を立案し、検討を進める。同機構常務取締役の渡邊准氏は、標識の整備問題などを例に挙げ、「インフラの整備などは民間だけではできない。民間のニーズを行政とタイアップしていくことが重要」と説明。観光庁がもつデータや事例、人材のネットワークなどをフル活用しながら、「1つのしっかりした活性化の成功モデルを作りたい」とした。支援対象となる地域は、既に両者に寄せられている事案や相談などを元に選定する見通しだ。