IATA、12年の航空業界利益予想を修正-欧州危機を懸念

  • 2012年6月25日

 国際航空運送協会(IATA)はこのほど、2012年における全世界の航空会社の利益予想を修正した。利益総額は30億米ドルで3月の前回予想から変更していないものの、内訳として、原油価格の下落と予想よりも強い旅客需要の伸びなどが利益を押し上げる一方、欧州危機がこの伸びを相殺すると予測。総旅客数は前年比4.6%増の29億6600万人とした。

 地域別では、北米と中南米の航空会社の利益を引き上げつつ、欧州とアジア太平洋、中東の航空会社は下方修正。欧州系航空会社は3月時点で6億米ドルの赤字予想であったが、11億米ドルの赤字予想に修正している。

 アジア太平洋地域では、前回予想よりも3億米ドル減の20億米ドルとの予測だが、依然として全地域の中で最大の利益を上げる見込み。中国とインドの経済成長が鈍化する中で、日本市場の需要回復が利益に貢献するという。ただし、同地域は2011年に49億米ドル、2010年に80億米ドルを上げており、中期的には下落傾向を示している。

 なお、こうした予想は全世界のGDP成長率が2.1%となることを前提としたもので、前回予想よりも0.1ポイント引き上げている。IATAによると、歴史的にGDP成長率が2.0%を割り込むと航空業界は全体として赤字化するという。