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投稿:新しい中国人の日本観−震災報道がきっかけに(中国の旅行会社・社長)

  • 2011年4月2日
訪日旅行を扱う中国の旅行会社社長から
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 3月11日の東日本大震災発生後、もう2週間になりました。大震災とその後発生した津波と原発事故で、精神的な面、物質的な面で、大変な苦痛を受けた日本の皆様に、お見舞い申し上げます。皆様が経験した大震災、津波、原発事故などの苦しみは、言葉では表せないほどです。

 大震災発生後の1週間の間に、中国国内の中央テレビ(CCTV)の総合番組1チャンネル、財政経済番組2チャンネル、国際番組4チャンネル、ニュース番組13チャンネルは、24時間止まらずに、ずっと生中継で放送を続けていました。CCTVは5組の取材班を東京、および震災区へ派遣し、随時国内に最新情報を伝送していました。震災、および救助活動に対する放送時間の長さ、内容の細かさは、これまでになかったものです。長時間の放送を通じて、我々中国人は今回の大地震がどれくらい多くの生命を奪い、財産をつぶし、多大な災難をもたらしたのかがわかりました。それと同時に、大惨事の前で日本人の沈静、互助、道徳、秩序、信用などに感心しました。

 多くの中国人はこれまで、日本をあまり知りませんでした。今まで日本人と全く付き合ったことのない中国人の日本に対する理解は、抗日戦争の宣伝番組から得られています。日本人は「ずるい、凶悪、貪欲など、戦争中の中国で悪事を尽くした「日本鬼子」のイメージが強い。現代日本と日本人のことをあまり知らないのです。

 私は訪日旅行を取り扱っていますが、時々、このような考えのお客様と対面しなければなりません。しかし、最初は「友達から誘われないと絶対日本へ行かない、日本人を1番憎んでいるよ」という方も、日本を旅行し、帰国すると見方が完全に変わります。「日本と日本人を愛するようになった」というお客様もいました。また、私は親戚から、以前は会うたびに「お前は完全に漢奸(中国人の裏切り者)になった」と言われていましたが、説得して日本に連れてみると、日本の各方面の高度発展と日本人の礼儀作法、まじめさ、正直な性格に、想像以上に驚き、敬服するようになりました。本当に「百聞は一見に如かず」です。

 今度の大震災の報道で、たくさんの中国の人が今まで全く知らなかった日本のことをある程度、知ることができ、日本という国や日本人に対する見方も変わりつつあります。これほどの大震災で物価の上昇がなく、混乱や略奪、窃盗、横取りなどがない。困難にあってもちゃんと秩序よく、マナー良く、列を並んで静かに待っている。これは本当に偉いものです。一番不思議に思うのは、道路の左側の車線で給油を待つ自動車の列。きれいに何キロも列を作り、その周囲には車が一台もありません。これは、中国人にとても印象深いものです。

 実は原発事故の発生後、ヨウ素を含む食塩が放射線を防ぐことができるといううわさが中国国内で伝わり、あっという間に中国国内の商店の食塩が売り切れました。国が、うわさがデマであることを一日中テレビで告知し、やっと騒動が収まりました。後で報道された情報によると、多い人では1袋500グラムの塩を700袋から1400袋も買った人がいます。これは家族で50年間食べても食べきれません。中国でもし同じ災害が発生したらどういうことが起きるのか、われわれ中国人としていろいろ考え、反省しなければなりません。

 今度の大震災を通じて、中国国民は日本をある程度理解し、まじめに成功した隣の国−日本に、いろんな面で学ばなければならないと思う人が増えました。これは今後、中日両国関係の発展につながると思います。大震災で私たち旅行業者は非常に苦しい状況にありますが、日本の救援活動が落ちつき、建設復旧がはじまり、徐々に情勢がよくなるのは間違いありません。早く、震災区の皆さんの生活が正常になるよう、そして、旅行業が早期に回復するよう、願っています。

※メッセージは3月25日に受け取り、確認の上、掲載しました。

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