HIS、第3四半期は増収減益も黒字確保−座席確保課題に、訪日など需要回復で

  • 2010年9月14日
 エイチ・アイ・エス(HIS)の2010年10月期第3四半期累計期間(2009年11月1日〜2010年7月31日)の連結業績は、売上高が2.1%増の2369億3200万円、営業利益が46.8%減の19億2900万円となった。旅行事業では、欧州の火山噴火やバンコクでのデモなどの影響に加え、アジアからの訪日旅行需要が高まったことにより、これまで強みとしてきたアジア方面への間際の座席確保が難航。売上高も、商品単価は伸びたものの、燃油サーチャージが前年より値下がりしていることもあり、1.0%増の2330億6300万円にとどまった。

 利益面では、取扱人数が想定に届かなかったことによる売上総利益の減少や、航空会社の経営事情を反映した仕入環境の悪化、旅行会社他社や航空会社の直販との価格競争などが影響。ただし、営業や広告展開の効率化、経費削減などを積極的に進めたことで、営業黒字を確保したという。

 また、ホテル事業は札幌のウォーターマークホテル・ジャパンを連結対象に加えた結果、売上高が25.7%増の16億7500万円と拡大。ただし、オーストラリア、札幌ともに周辺ホテルとの価格競争の影響で1000万円の営業損失を計上した。

 このほか、ハウステンボス(HTB)は売上高が22億7100万円、営業損失7200万円、経常利益1億8200万円となった。HISでは、人気アニメ「ONE PIECE」を利用したアトラクションをHTB内で共催したことなどにより、黒字体質の基礎を構築できたとしている。

 なお、第3四半期累計期間の連結経常利益は71.0%減の7億5600万円、純利益は61.2%減の6億4000万円。いずれも、為替相場の急激な変動による為替差損を21億3200万円計上したが影響した。


▽通期予想は下方修正

 2010年10月期の通期決算については、業績予想を下方修正した。需要面では、円高傾向の継続や羽田空港国際化などもあり、全体的に回復の兆しが見られるなか、HISでも夏、秋のチャーター商品の販売数や法人需要が増加傾向を示しているという。しかし、航空需要の回復にともなって航空座席の確保が課題となり、さらに他社や航空会社との価格競争も影響すると見る。詳細は下表を参照のこと。


▽HIS、2010年10月期業績予想(画像ファイル)