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ハワイ体験レポート:ハワイ初上陸のディズニーリゾート、視察ツアー

  • 2010年8月5日
ハワイ初のディズニーのホテルが来夏オープン
〜ツアーやハネムーン、MICEなど多様な販売の可能性も〜


 オアフ島のコオリナ地区に、ハワイ初となるディズニーリゾート「アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ・コオリナ・ハワイ」がデビューする。1年後に控えたオープンに先立ち、日米のメディアを対象にした視察ツアーが開催され、建設途中のリゾートを訪問する機会を得た。ディズニーがハワイというキャンパスに、その独自のコンセプトでリゾートを描いたらどのような作品ができあがるのか。これは旅行業界人ならずとも、大変興味深いはずだ。
                
                 

ハワイの自然と共存した一大リゾート

 オアフ島西部の玄関口に位置するコオリナ地区とカポレイ地区は、ホノルル市がその行政の一部をダウンタウンから移設したこともあり、近年の周辺住民の増加とともに新しい街づくりに活発なエリアだ。そのなかでもコオリナ地区はゴルフ場、ホテル、タイムシェアなどが1ヶ所にまとまっており、リゾートとしての知名度が確立しているといえるだろう。

 今回ディズニーが満を持してハワイ進出するにあたり、コオリナ地区を選ぶまでには紆余曲折があったようだ。ディズニー・バケーションクラブ社長のジム・ルイス氏によれば、ハワイでのリゾート運営を展開するに際し、オアフ島以外の隣島をふくめ公平に視察。その結果として渡航者の数で圧倒的に勝るオアフ島が選ばれたのは必然としても、コオリナ地区に決まるまでにはさまざまな議論があったという。「コオリナ名物のラグーン(入り江)、ディズニーが重要視する自然環境、ワイアナエからダイヤモンド・ヘッドまでを一望できるビーチ、そしてここを基点として東西南北にアクセスできる高速道路の便の良さもあり、最終的にコオリナに決まった」と説明する。

 来年8月末にオープンを予定する同リゾートは、約2万5700坪のオーシャンフロントの敷地に、ホテル客室359、キッチン付きバケーションクラブ(タイムシェア)の客室481を擁する一大リゾートとなる。ワイキキのホテルを簡単な比較としてあげればハレクラニの客室数が453室だから、その規模の大きさを想像できるだろう。「アウラニ」とはハワイ語で“崇高な人からの伝言を承るメッセンジャー”という意味だ。このリゾートにおける“崇高な”とはハワイそのものであり、またその自然を意味する。つまり、このリゾートはハワイの自然との共存に重きを置き、そのよさを宿泊者に伝えるメッセンジャーでありたい、とディズニーは考えているようだ。


館内随所にディズニー流のこだわりが

 今回の視察で特に驚いたのは、デザイン、そしてアイディアの随所に垣間見られるディズニー流の“こだわり”だ。

 リゾートの全体像でいえば、正面玄関は山向きで貿易風が玄関からリゾート内に吹き込むことを計算した設計だ。リゾートに入ると、まずはエントランス横にハワイの名産でもあるタロイモ畑が目に入る。「ありがちなトロピカル風ではなく、リアルなハワイをモチーフにした。このリゾート内にフェイクはない」とハワイ出身でデザインの総指揮者でもあるジョー・ロード氏が語るように、アプローチからネイティブの視点が取り入れられている。

 「マカアラ」(ハワイ語で「目を開く」の意味)と呼ばれるロビーは、19世紀から20世紀中期のハワイ建築をとりいれた三角屋根のカヌーハウスを思わせる伝統的なデザインで、このリゾートのロゴモチーフにもなっている。また、チェックインをする頃の時間帯には、上部のステンドグラスから差し込む日光が虹色に輝くという自然の演出で宿泊客を迎え入れるといった趣向も盛り込んだ。このロビーからジャングルをイメージしたガーデンを抜けていくと、少しずつ目の前が広がって、美しいハワイの海に出られるつくりとなっている。

 客室棟の2棟に挟まれた中庭には、通常のプール、水中歩行可能な浅めのプールに加え、魚と一緒に泳げる海水のレインボー・リーフ・シュノーケル・ラグーンもできる。何よりも圧巻はスプラッシュ・マウンテンを彷彿させるウォーター・スライダーだろう。その全長はなんと約270メートルもの長さになる予定だという。

 また、館内の飲食施設数も充実している。なかでもキャラクターと写真撮影ができる「マカヒキ・レストラン」は人気を博しそうだ。キャラクターはミッキー、ミニー、スティッチ、そしてチップ&デールを予定しており、「彼らもハワイに旅行で来ていた」というさりげない出会いを演出するとのこと。また館内のいたるところにハワイで「メネフネ」と呼ばれる小人が隠れている。このメネフネは子どもの目線にあわせて設置されるそうで、子ども用館内ゲームにも登場する予定だ。


ディズニー愛好家の多い日本は最重要マーケットに

 ディズニー・ワールドワイド・セールス&トラベル・オペレーションズのPRマネージャーであるポール・ガルシア氏によると、「日本とオーストラリアはディズニーが海外で最も重要視している国々であり、ディズニー愛好家の数は他の国の比ではない」と語る。そのため、「ハワイが日本人観光客に人気が高いことは十分認識しており、その期待に応えるべく、現在販路を確立中」とのことだ。ホテル客室の販売はホールセラーを通し、日本語インターネット・サイトからの個人予約は受け付けない方針だ。客室区分は、オーシャンビューからアイランドビューと呼ばれる山側客室まで全区分を提供する予定。

 今回ホテル客室のモデルルームを見学したが、細部にまでこだわった素晴らしい造りであった。このリゾートの明確なコンセプトが「家族での宿泊、休暇」であることから、限られた室内面積を有効に使うため、はじめからベッドの下にスーツケースが出し入れ可能になるスペースが設けてあった。また浴室のシャワーは通常のホテル仕様のハンドシャワーに加え、スパでよく見かける天井から降り注ぐシャワーも常設されていた。これなら親子が簡単に一緒にシャワーを浴びることもできる。

 このリゾートはディズニーの掲げる夢のあるコンセプト・デザインと並行して、確固たるビジネス・チャンスへのアプローチも兼ね備える造りとなっている。総面積約1350平方メートルのカンファレンス・センターはインセンティブ、MICEへの対応が目的。また、同敷地内に併設されるガゼボでのウェディングも可能だ。「東京ディズニーランドで挙式し、アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ・コオリナ・ハワイにハネムーンで来る」というガルシア氏が思い描く、日本人カップル向けの提案は現実味を帯びている。

 これまでハワイのホテルを数多く見て来たが、今回のアウラニ・ディズニー・リゾート&スパ・コオリナ・ハワイには、まったく異なるコンセプトを感じる。無限のビジネス・チャンスを秘めた新しい滞在先といえるだろう。





今週のハワイ50選
ダウンタウン(オアフ島)
ダイヤモンド・ヘッド(オアフ島)
ワイキキ(オアフ島)



取材:横堀淳