全日空、第3四半期では初の営業損失計上−国際線旅客数はプラス成長

  • 2010年2月1日
 全日空(NH)の2010年3月期第3四半期(2009年4月1日〜2009年12月31日)の連結業績で、営業損益が378億800万円の赤字(前年、以下同:403億3200万円の黒字)となった。NH上席執行役員財務部長の金澤栄次氏によると、第3四半期累計での営業損失計上は、連結、四半期での開示を始めた2003年3月期以降初めてという。営業費用を9.9%減の9615億7200万円と削減したものの、景気低迷などの影響により売上高が16.6%減の9237億6400万円と大きく減少した。

 航空運送事業の売上高は16.5%減の8163億6300万円で、このうち国際線旅客収入は34.6%減の1565億4600万円。ただし、ビジネス需要の低迷は継続しているものの、レジャー需要の取り込みなどの施策により8月以降に旅客数は回復傾向を示し、とりわけ第3四半期は14.6%増と大幅に増加。この結果、第3四半期までの累計で341万1498人と0.2%ながらプラス成長した。

 また、国際線の座席供給量をあらわす有効座席キロ(ASK)を5.3%減としぼったところ、需要をあらわす有償旅客キロ(RPK)は0.2%増となり、座席利用率は4.1ポイント増の74.6%となった。運賃単価は累計で26%減、燃油サーチャージ分を含めると35%減になったという。競争の激化に加えて従来はビジネスクラスを利用していた層がエコノミークラスを利用した可能性もあるようだ。

 また、旅行事業の売上高は14.3%減の1269億3000万円となった。海外旅行では取扱人数は増えたものの、低価格商品の増加や近距離デスティネーションの人気が高まったことにより、売上高が減少。海外旅行パッケージ商品の売上高は30.6%減の166億6800万円であった。

 なお、再建を進める日本航空(JL)の動向が与える影響について金澤氏は、現在のところ「具体的な数字はない」ものの、JLが撤退した一部路線で、「12月単月の旅客数を速報ベースで見る限り、これまでにはない数字が出つつある」と説明。一方でJLの競争力向上が与える影響については、「中長期的にはバランスシートを含めて限りなく身軽になるはずで、そのなかで生まれるJLの競争力に、NHとしてコスト競争力を含めてどう対応できるかは我々に突きつけられた大きな課題」との認識を示した。