日本国際観光学会、駐日大使講演、英語で簡単にネット予約出来ないと不便

  • 2006年10月11日
 日本国際観光学会(JAFIT)はこのほど、第7回全国大会を開催、会員、一般、招待客を含め180名が参加した。基調講演には駐日英国大使のグレアム・フライ氏が登壇、「日本は寿司だけではない」と題して、イギリスでの外客誘致について語った。

 イギリスが観光を推進する理由は、構造改革を推進した結果、地域格差が生じ、この雇用創出手段として位置づけ。こうした中で英国政府観光庁(Visit Britain)の役割は「ロンドンから地方に誘導できるか」という。さらに、観光を振興する上では「利点ばかりではなく、環境破壊、自然破壊などの悪影響も懸念され」ることを指摘。英国ではNPOが主体となり、英国外務省が資金を提供、旅行会社が協力して持続可能な観光を模索していくプログラム「Make a difference when you travel(プラス効果をもたらすような旅をしよう)」というスローガンを紹介した。
 また、「霧」のイメージが強いロンドンについては、これを変えようとしても、「新聞、映画、テレビ、本等から植えつけられ、・・・イメージが再強化される」とし、ブレア首相が提唱した「クールブリタニア」や「英国式幸福論」などで「old meets new」という形で展開していることを紹介。具体的には、伝統的な田園風景、歴史遺跡、英国庭園などに加え、新たな食、文化などが登場していることを加えることで、誘客していることを語った。

 これを振り返り、「クールジャパン」や「old meets new」の手法としてフライ氏は伝統的な歌舞伎、寿司などを根強い人気としながら、六本木ヒルズや秋葉原、あるいはマンガ、アニメ文化などは誘客する素材という。ただし、問題点としては、入国審査が比較的長いこと、管轄省庁の力が強く規制が優先されていることを指摘。また、「英語で簡単にインターネット予約ができないことが、個人旅行を好む英国人にとっては不便」と語った。