GTO後藤副社長、5年遅れの日本ネット旅行市場も今後は拡大の歩み

  • 2006年9月6日
 グローバルトラベルオンライン(GTO)の後藤淳一取締役副社長&COOが都内セミナーで講演、今後の旅行業界の予測を示し、10年後には現在アメリカに誕生している旅行商品の総合価格比較サイト「SideStep」などが日本でも出現し、「消費者の利便性を考えた形になっていく」との見方を示した。

 現在のインターネットの旅行市場については「欧米に比べ、5年以上遅れている」との認識を示し、今後5年ほどでアメリカのトラベロシティ、エクスペディアなど巨大な収益をあげ、かつ効率的な旅行会社の登場でいわゆる「パパ・ママエージェント」が余波を受けるというアメリカでのシナリオが来るとの見方。ネットから消費者が自由に予約できる傾向は力強く続くとも予測した。ネット上でサプライヤーと旅行会社間のデータやり取りの方式「XML」が浸透し、究極的には総合比較サイトで消費者が旅行を選択する、という想定だ。

 ただし、日本では国内旅行については航空券、JR券、バスなど交通手段を一元的に比較、購入ができるネット予約は現在のところ、出現していない。楽天トラベルは全日空(NH)と共同で楽天ANAトラベルオンラインを設立、ダイナミック・パッケージの国内での販売に取り組んでいる。だが、後藤氏が考えるダイナミック・パッケージでの「可能な限りの選択肢を与える」という意味では片手落ちの状態。楽天ANAは料金や自由な旅程という意味では「ダイナミック」であるが、交通手段を幅広く取り揃えるという「ダイナミック」さ国内では欠けており、GTOが進出した経緯も航空各社の仕入れが可能な海外旅行であるなどを披露し、ダイナミック・パッケージの基本的な考えについても語った。


▽顧客ニーズは多種多様、「ロングテール理論」を旅行業界で実現

 後藤氏は同社の現在の顧客について、「男性は30歳から60歳台、女性は20代後半から40代」と明かし、会社設立前に実施した調査などからターゲットとした海外旅行のリピーター層が利用者であることを紹介。「各自の旅行、嗜好はバラバラで、航空座席はビジネスだが、ホテルはエコノミークラス、あるいは、経由便のエコノミークラスでホテルは必ずフォーシーズンズという人もいる」と消費者が自分の好きなように組み合わせて旅行を作れる利点から、こうした需要を獲得していることを紹介した。

 また、GTOの設立で初めて分かったこととして、「eチケット」の浸透、ニーズが限りなくあること、休暇が取れた場合に直ぐに予約し、出かけること、さらにクレームが少ないこと。また、決して最安値を選ぶわけではないことなども紹介。

 今後の消費者のニーズに応えていくためには、7日の旅程中に2泊を友人宅に設定するシステムの対応、シカゴ発ニューヨーク行きのパック商品など、Web2.0と言われる需要の少ない商品について取り組んでいく考えを示した。


▽参考:サイドステップ
http://www.sidestep.com