クラツー岡本新社長インタビュー、「クラツーらしい個人旅行のあり方を模索」

−上場目的を教えてください。
上場目的の一つに投資資金の調達となるが、投資するITの仕組みとしてはクラツー創業当時の近畿日本ツーリストの事業部の時にも予約システムや顧客データベースをしっかりと構築しようと動き出していました。この4、5年は投資しておりません。システム的には老朽化し、問題があるな、と思うので変えます。もう一つは知名度の向上です。未だに近畿日本ツーリストの中のクラツーというようなお客様からの声があるので、知名度と上場してクラツーの信頼を挙げていきたい。
ただ、上場がゴールではありません。上場により一般の人の目に晒されることになり、この機会に会社の体制をきちんとし、社員のモチベーションが上がることに繋がれば思っています。
−重点施策についてお聞かせください。
eビジネスの拡大、ITシステムの構築を図ります。当社は営業中心に活動をしてきました。ただし、営業面の内部統制に課題があると感じており、経理の後方支援の仕組みも合わせて改善していきたい。
今後、構築する販売システムは、ダイナミック・パッケージの機能も入れます。ただし、仕入れ等の問題も加味し、今ある商品をどのようにeビジネスで売っていくかが当面の課題でしょう。新規のお客様の獲得でもeビジネスの推進が早く成果につながると思います。
FIT化とeビジネスは近い関係にあり、個人旅行の販売はインターネットという結論になる。eビジネスとシステムの同時開発、販売の仕組みとそれを支えるシステムの構築を一緒にして取り組みます。
−クラブツーリズムによるFITの取り組みのイメージをお教えください。
当社はお客様の仲間作りを謳っており、個人旅行は仲間作りというミッションとずれていますから、個人への対応はどうかと考えていました。一方で、新規のお客様は全体の1割を目指していこうと思っています。
ただし、個人旅行、特にこれからの団塊世代を取り込む上で、素材組合せだけでは我々らしい個人旅行のあり方を打ち出せてはいません。今もレンタカープランの売上が多く、こうした個人のお客様に対応できる仕組みは必要です。
ひとつの例えですが、訪問した先で、当社が実施する現地のイベントに参加できるというのも良いでしょう。当社ならではのサービスを探り、研究しながら作り出していきたい。そうすることで、他社との差別化ができると思っております。
−クラブツーリズムカフェを活かした顧客の取り込みついてお聞かせ下さい。
集客で効率が良い方法は、店舗販売や新聞広告と思いますが、続けていくことに疑問を感じてもいます。ただ、店舗を持っていても、商品を買っていただくのみでは利益、売上が分かるだけで、誰が買ってくれたかがわかりません。
店舗でも、旅行履歴をしっかり把握することで、お客様に非常に近くなったと感じています。そこで家庭、職場、そして第3の場と呼ぶ「地域の場」が大切になっている。そのため、カフェは地域密着型の店舗としたのです。コーヒーはきっかけづくりで、そこで旅行に関連した幅の広いサービスを提供できれば新しいビジネスが発展できるかもしれない。今後は、幅広いサービスという意味でカフェを発展させたい。
−「クラブ1000構想」がありますが、どのようにクラブを増やしていくのでしょうか。
現在クラブは250ほど、参加者は延べ25万人いらっしゃいます。クラブ数の拡充は、お客様が気付かないクラブのようなものを作っていければと考えています。例えば、(夫婦ではなく)1人でクラブに参加する方も増え、グループでも他の旅行会社さんがやっていないようなデメリットのあるものを、たくさん集めることでメリットに変える、という方向も加えながらクラブが増えていけばと思っております。
−クラブ、カフェと旅行業以外の動きが徐々に見え始めています。
新規事業開発室を設けており、現在、ここでは資産の運用サービスを始めました。資産運用講座を実施しており、会員参加者は結構多いのです。旅行会社が、なぜそのようなサービスをやっているか質問を受けたりもしますが、これはしっかり訴えていけば、おもしろいビジネスに成長すると思っています。会員の反応をみながら、進めていきます。
−今後の抱負を教えてください。
これまでシニア文化をつくるというミッションを訴えてきている。お客様の豊かなシニア文化を創造できるよう、お客様の自己実現の場としていきたい。原点に戻り、お客様が添乗員として業務に参画できるフェロースタッフの仕組みをしっかりやっていくことが当社のミッションを推進することになると思う。
−ありがとうございまいした。
※クラブ会員数の表記に誤りがありました。正しくは「延べ25万人」です。ここに訂正し、お詫び致します。7月11日午前10時00分(編集部)