SQ、日本路線のビジネスクラスで菊乃井シェフ考案の懐石料理を提供

  • 2005年11月9日
 シンガポール航空(SQ)は11月から、日本発着のビジネスクラス機内食で京都「菊乃井」のオーナーシェフ村田吉弘氏が手掛けた懐石料理「花ごよみ」を提供している。このほど、SQ本社からインフライト・サービス・バイスプレジデントのベティ・ウォン氏、フード・アンド・ビバレッジ部門マネージャーのハーマン・フレイダンク氏が来日、SQ日本支社長のチェン・シ・イェン氏、村田シェフ、SQの機内サービスコンサルタントの小田光廣氏などが新メニューを発表した。

 花ごよみはファーストクラスで既に提供する京懐石の成功を受け、ビジネスクラスでのサービスについても向上を図るもの。日本路線ではシンガポールと東京、名古屋、大阪、福岡間の各路線、および東京/ロサンゼルス線で提供を開始した。
 メニューは「四季の移り変わりを花で表現し、四季それぞれの真髄を食に盛り込んだもの」(ウォン氏)だ。料理は朝食、昼食、夕食とある。機内でのサービスにも配慮し、9種類を小分けにし、口取り、和え物の冷たい料理、焼き物、たき合わせなどの料理にご飯、味噌汁、おそばが付く。SQが9月に実施した顧客への試食会では日本人だけでなく、評価が高く、今後はファーストクラスで提供する予約制の食事「ブック・ザ・クック」のメニューに加え、世界で展開する路線でも楽しめるようにする考え。
 メニューを考案した村田氏は「クリームもバターも使わず、機内の動けない空間でカロリーの高いものを食べる苦痛から逃れることが出来る」と話し、「限られた環境で食べることを楽しみとする人にサービスし、エアラインの食を変えていきたい」と新メニューの開発時の発想を明かした。また、エコノミークラスの食事についても「変えたい」と意気込みも示した。


 イェン氏はシンガポールでのことわざとして「男の心を捉えるなら、胃袋をとらえなさい」という言葉を紹介、日本でも同じような諺があることを踏まえ「世界、どこでも食事は大切。シンガポール航空はこうした食事を真剣に考えている」と語り、機内食を重視する方針を改めて強調する。こうした方針は、SQが「インターナショナル・カリナリー・パネル」を結成し、インド、フランス、シンガポール、オーストラリア、アメリカ西海岸と東海岸、イギリス、香港、そして日本の村田氏を加えた8名のシェフが吟味する機内食の提供する体制にも表れている。

▽中央にSQインフライト・サービス・バイスプレジデントのベティ・ウォン氏と「菊乃井」のオーナーシェフ村田吉弘氏