法律豆知識、旅行契約の取消しを巡るトラブル防止(その2)
旅行の取消しを巡っては、様々なトラブルが生じる。そこで、よく起こりやすいケースを素材に、法律的な問題を検討してみよう。多くの方は御存知だろうが、再確認の意味も込めて、読んで頂きたい。
▽ケース1・代理権の有無に注意!
定期健康診断で病気が発見され、医師から手術を勧められた。しかし、すぐ手術を受けなければならないというわけでもなく、自覚症状もないので、申し込んだ旅行については、そのまま参加するつもりでいた。ところが、心配した息子が独断で、旅行契約をキャンセルしてしまった。旅行は幸いに再手配が出来たが、キャンセルについて旅行業者が取消料を請求してトラブルになった。
▽検討
息子から取消して欲しいと言われれば、旅行業者としては、それを受けて、取消してしまいそうである。しかし、そこには、大きな落とし穴がある。
例え息子でも、当然に本人の代理人になるわけではないので、特別の授権をされていない限り、独断でキャンセルは出来ない。多くの場合、息子は親の意向を代弁しているであろうが、今回のように、意向が一致していない場合には、トラブルとなる。
旅行業者としては、本人の意思確認をするか、委任状を提出してもらう必要があった。それを飛ばし、取消しの処理をしたのでは、取消自体が無効であり、取消料はとれないのだ。
この事例では、再手配が出来たので、取消料だけの問題となったが、再手配できないと、損害賠償の問題に発展しかねないので気をつけて欲しい。
もっとも、民法には、「表見代理」という制度(109条)があり、代理権があるような外観があり、第三者がそれを信じるのが相当な場合であれば、無権代理も有効とされる。息子が、最初の申込み段階から代理して手続きをしているとか、以前に何回も、親を代理して契約処理をしているような事情があれば、息子の取消しの意思表示も、「表見代理」で有効ということもありうる。
しかし、このように、有効とされるのは例外であり、実務としては、面倒でも本人の意思確認をするということを心がけて欲しいものである。
▽ケース2・延泊が出来なくなったキャンスルケース
6日間のパックツアーで、2日間延泊するということで旅行契約を結び、申込金を支払った。しかし、出発まで1ヶ月を切ってから、旅行会社から「延泊のホテルが確保できないので、延泊は出来ない」と言ってきた。「それなら、旅行をキャンセルしたい」というと、旅行会社から「1ヶ月を切っているので、キャンセルするのなら、キャンセル料が必要」といわれ、トラブルとなった。
▽検討
この場合は、延泊が契約の内容として確定的になっていれば、延泊が出来ないこと自体が旅行業者の債務不履行となる。取消料の請求が認められないどころか、債務不履行として、損害賠償の問題が発生しかねない。
申込金を支払った時点で契約は成立するので、旅行業者としては、延泊の手配が出来るのかどうか、その時点までにはっきりさせておく必要がある。明確に出来なければ、申込金の受領を留保するのがベストである。
申込金を受領するにしても、延泊が出来なくても旅行に参加するのか、延泊が出来ないのなら旅行を取りやめるかの意思確認をしておき、その結果を旅行申込書等に書き添えておく必要がある。
延泊できなくても参加するという意思表示があれば、その意思表示に反してキャンセルするという旅行者には、取消料がとれるのは当然であるが。しかし、そうでなければ、取消料を収受することはできない。
なお、この場合、もう一点注意して欲しい。それは、延泊の可否についての判断時期を明確にさせること。例えば、「旅行開始日の前日から起算して20日目までに、延泊の手配が出来ないときは旅行契約が失効する」としておくのがいい。この場合、20日までに手配が完了しなければ、契約は当然に失効し、取消料の発生はなく、既に受け取っていた金銭を返還することになる。
いつまでも、旅行できるのかどうか判らない不安定な状態を続けることは、それ自体紛争の種を作るので、このように、基準をあらかじめ明確にしておくと良いだろう。
▽ケース1・代理権の有無に注意!
定期健康診断で病気が発見され、医師から手術を勧められた。しかし、すぐ手術を受けなければならないというわけでもなく、自覚症状もないので、申し込んだ旅行については、そのまま参加するつもりでいた。ところが、心配した息子が独断で、旅行契約をキャンセルしてしまった。旅行は幸いに再手配が出来たが、キャンセルについて旅行業者が取消料を請求してトラブルになった。
▽検討
息子から取消して欲しいと言われれば、旅行業者としては、それを受けて、取消してしまいそうである。しかし、そこには、大きな落とし穴がある。
例え息子でも、当然に本人の代理人になるわけではないので、特別の授権をされていない限り、独断でキャンセルは出来ない。多くの場合、息子は親の意向を代弁しているであろうが、今回のように、意向が一致していない場合には、トラブルとなる。
旅行業者としては、本人の意思確認をするか、委任状を提出してもらう必要があった。それを飛ばし、取消しの処理をしたのでは、取消自体が無効であり、取消料はとれないのだ。
この事例では、再手配が出来たので、取消料だけの問題となったが、再手配できないと、損害賠償の問題に発展しかねないので気をつけて欲しい。
もっとも、民法には、「表見代理」という制度(109条)があり、代理権があるような外観があり、第三者がそれを信じるのが相当な場合であれば、無権代理も有効とされる。息子が、最初の申込み段階から代理して手続きをしているとか、以前に何回も、親を代理して契約処理をしているような事情があれば、息子の取消しの意思表示も、「表見代理」で有効ということもありうる。
しかし、このように、有効とされるのは例外であり、実務としては、面倒でも本人の意思確認をするということを心がけて欲しいものである。
▽ケース2・延泊が出来なくなったキャンスルケース
6日間のパックツアーで、2日間延泊するということで旅行契約を結び、申込金を支払った。しかし、出発まで1ヶ月を切ってから、旅行会社から「延泊のホテルが確保できないので、延泊は出来ない」と言ってきた。「それなら、旅行をキャンセルしたい」というと、旅行会社から「1ヶ月を切っているので、キャンセルするのなら、キャンセル料が必要」といわれ、トラブルとなった。
▽検討
この場合は、延泊が契約の内容として確定的になっていれば、延泊が出来ないこと自体が旅行業者の債務不履行となる。取消料の請求が認められないどころか、債務不履行として、損害賠償の問題が発生しかねない。
申込金を支払った時点で契約は成立するので、旅行業者としては、延泊の手配が出来るのかどうか、その時点までにはっきりさせておく必要がある。明確に出来なければ、申込金の受領を留保するのがベストである。
申込金を受領するにしても、延泊が出来なくても旅行に参加するのか、延泊が出来ないのなら旅行を取りやめるかの意思確認をしておき、その結果を旅行申込書等に書き添えておく必要がある。
延泊できなくても参加するという意思表示があれば、その意思表示に反してキャンセルするという旅行者には、取消料がとれるのは当然であるが。しかし、そうでなければ、取消料を収受することはできない。
なお、この場合、もう一点注意して欲しい。それは、延泊の可否についての判断時期を明確にさせること。例えば、「旅行開始日の前日から起算して20日目までに、延泊の手配が出来ないときは旅行契約が失効する」としておくのがいい。この場合、20日までに手配が完了しなければ、契約は当然に失効し、取消料の発生はなく、既に受け取っていた金銭を返還することになる。
いつまでも、旅行できるのかどうか判らない不安定な状態を続けることは、それ自体紛争の種を作るので、このように、基準をあらかじめ明確にしておくと良いだろう。