近ツー、3つの重荷を強みに店舗やネット・携帯メディアで販路拡大

  • 2005年3月9日
 近畿日本ツーリストは近ツーの代理業、特約店提携の旅丸会通常総会において、代表取締役社長の太田孝氏今後の戦略などを語った。近ツーは「お客の視点に立つ、近ツーグループの最大化」の2つの判断基準から、販売施策を決定し、組織の拡販に繋げる。このため、太田氏は「旅行業界の3つの重荷と言われる『施設費、人件費、パンフレットコスト』を近ツーの強みと変える」と強調。施設費は「人と人との交流から始まるという信念」から、「旅丸会の皆様と一緒に店舗数を拡大していきたい」と販路の拡大、および対面販売の重要性を指摘。これは昨年、神奈川県を地盤とする相鉄観光の子会社化、今年1月の読売旅行、今月に公表した大阪の南海国際旅行との提携などはこうした流れの一環で、販路を強化、拡大する施策は引き続き展開するものと考えられる。
 人件費は、「現在の社員数は1万人。数年で3000名が自然減となり、適正人数」と大きなメスを入れる部分ではないとの考え。さらに、パンフレットコストは、「軽視すれば自殺行為」と断言し、パンフレット作成に掛かるコスト削減を目指し、このほど首都圏限定で開始しているパンフレットに設けた二次元バーコードを利用する「カシャ紙予約」を改めて紹介。これはカメラ付き携帯で撮影し、予約から決済まで完了できるもの。また、昨今の旅行流通においてのインターネットを販路とする流れを意識し、「インターネット旅行会社に勝る仕入力の強みを生かし、業界の新スタンダードにしたい」考えも示す。こうした施策により、店舗の拡大とあわせ、紙のパンフレット、ホームページ、携帯など複数の形態から販売へ繋げるクロスメディア戦略を展開していく。
 また、太田氏が年初挨拶で社員に向け、4つの変革としてプロダクト、プロセス、流通、マインドリノベーション戦略について伝えたという。このうち、流通についてはカシャ紙予約を念頭にして、「800万、1000万とも言われる団塊の世代はパソコンなどの操作ができる年代」との認識から、団塊の世代を意識して製作。マインドリノベーションは、「心のこもった接客が出来なければお客様は離れていく」考えから、「現場に端を発する経営改革に取り組む」姿勢を示した。旅丸会員には、「地域に密着した会員の魅力を活かしきれていない」とし、「長年染み付いた近畿日本ツーリストのスタンダードを一層し、旅丸会員の意見を汲み取りたい。ウィン・ウィンの関係を築きたい」と意欲を語った。

▽近ツーの提携販売額目標は1500億円
 昨年の旅丸会の実績は03年比5.6%増の421億円であったことを受け、近畿日本ツーリスト取締役社長で旅丸会名誉会長の太田孝氏は「提携販売額は1500億円が目標。このうち、旅丸会の取扱額を500億円の大台に乗せ、33%のシェアを目指したい」と語り、創業50周年記念商品の販売などを通して、目標を達成する意向を示し、協力を求めた。また、近ツーが事業展開の機軸として強化するメイト・ホリデイ事業のうちホリデイは昨年、43万人の取扱実績を記録し、海旅ブランド商品では業界第2位の地位を確保。3月3日時点で「今年1月から3月までの契約高が前年比30%増」と太田氏は説明し、更なる発展に向けて今後、率直な会員の意見を求めた。
 また、宿泊券販売高は目標を30億円上回る1450億円と順調。今年の目標は1300億円とし、クラブツーリズムの実績を差し引いた昨年の実績である1225億円を75億円上積みする目標額を設定する。