JATA、アメリカへの訪問者数の下方修正を示唆、バス共同企画は継続

  • 2004年3月3日
 日本旅行業協会(JATA)事務局長の石山醇氏はアメリカへの日本人訪問者数の目標値を下方修正する方向性を示唆した。これは、アメリカ連邦政府の観光プロモーション予算5000万ドルが縮小し、予算対象国もイギリスのみに限定されることを受けたもの。これまで3回に渡り、日米観光交流促進会議ワーキンググループ(WG)を開催し、日本とアメリカ双方がそれぞれのインバウンドとアウトバウンドを連動して協議。日本からのアウトバウンドでは訪問者数の数値目標として2006年に500万人を掲げていた。目標の修正に関しては今後、JATAの海外旅行委員会需要喚起部会で米本土に関する目標値を再度検討する。
 ただ、第1回WGが開催された2002年時点では日米間の観光促進について覚書締結のみで、予算はもともと無かったのも事実。石山氏は「予算があれば5年かかるプロモーションが1年で出来るもの」と語り、予算消滅は「ショック」と語るものの、「アメリカへの訪問者数が伸びずに困るのはアメリカ側ではなく日本側」として、施策を打つ方向性には変わりないことも言及した。具体的にはJATAが主導して昨年9月に6社共同企画として実施した「アメリカ大陸横断バスクルーズ」は継続する意向だ。

 日本でアメリカのプロモーション活動を展開する観光局をはじめとする関係機関にも、若干当惑気味の感は拭えない。全米旅行産業協会(TIA)日本代表の井上嘉世子氏は「MOU締結時点に戻り、原点から活動を行うこと」とし、仕切りなおしとなる認識を示す。今後の具体策として、「WGの当初の構想にあった姉妹都市交流などの活動を進めては」と提案する。また、「今後直ぐに再開するわけではない」としたものの、「TIAは米議会に(予算獲得等の)働きかけるロビー活動を行ってきた。今後も政府と共同予算の形を模索しながら、ロビー活動を行うのでは」と予算に対して、全く別の望みを持つ。
 5000万ドルという巨額のプロモーション予算だっただけに、関係者へのインパクトも大きい。ただし、昨年からアメリカ旅行に自然をテーマとする旅行が回帰し始める動きもあるだけに、4月のパウワウ後に予定する第4回WGで継続的な施策を模索することも重要だろう。