海外旅行217万人に減少、韓国・台湾など近距離アジアが堅調 総旅行者数は4.6%減の7117万人
JTBは、2026年夏休み期間の旅行動向見通しを発表した。7月15日から8月31日までに1泊以上の旅行に出かける日本人の旅行について、各種経済動向や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、JTBグループが実施したアンケート調査などをもとに推計したもの。総旅行者数は前年比4.6%減の7117万人、総旅行消費額は1.7%減の4兆474億円とした。所得や夏のボーナスは増加傾向にある一方、物価高を背景に旅行支出を抑える意識が強まり、旅行需要は節約と価値重視のメリハリ型が鮮明になっている。
同調査は1969年から継続して実施しているもの。今回のアンケートは6月8日から11日まで、全国の15歳以上79歳までの男女を対象にインターネットで実施し、事前調査1万人のうち、夏休みに旅行に行く、またはたぶん行くと回答した2060人を本調査の対象とした。
| 区分 | 旅行者数 | 前年比 | 1人あたり平均旅行予定費用 | 前年比 | 旅行消費額 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 総旅行 | 7117万人 | 95.4% | ― | ― | 4兆474億円 | 98.3% |
| 国内旅行 | 6900万人 | 95.6% | 4万8500円 | 103.2% | 3兆3465億円 | 98.6% |
| 海外旅行 | 217万人 | 91.2% | 32万3000円 | 106.3% | 7009億円 | 96.9% |
夏休みの旅行意向は「行く」と「たぶん行く」の合計で30.6%となり、前年から3.6ポイント低下した。旅行に行かない理由では「夏休み期間は混雑するから」が29.2%で最も多く、「家計に余裕がないので」が26.3%、「家でのんびりしたいので」が25.9%で続いた。混雑や旅行費用の高騰を避け、夏休み前後に時期をずらす傾向もみられる。
発表によると、国内旅行者数は前年比4.4%減の6900万人、一人当たりの平均旅行予定費用は3.2%増の4万8500円、旅行消費額は1.4%減の3兆3465億円となる見通し。旅行者数は前年を下回る一方、宿泊費や交通費などの上昇を受けて単価は引き続き上昇する。
国内旅行では、「家族と過ごす」が33.0%で旅行目的の首位となり、「食事、地域の味覚を味わう」が27.3%、「リラックスする、のんびりする」が27.1%で続いた。旅行日数は1泊2日が39.0%で最も多く、短期化の傾向がみられる。方面別では関東が19.0%、近畿が14.9%、北海道が11.2%、東海が11.0%となった。
今年の夏休みは暑さへの対応も旅行選びの要素となっている。重視したいことでは「暑さを避け、屋内施設での観光や体験を楽しむ」が15.8%、「花火大会など、夏季限定のイベントに参加する」が15.3%、「心身の不調の改善や静養を主な目的としたリカバリーツーリズム」が12.7%となった。屋内施設、早朝・夜間観光、移動負担を抑えた行程などは、夏季商品の造成や販売時の訴求材料となる。
海外旅行者数は前年比8.8%減の217万人、一人当たりの平均旅行予定費用は6.3%増の32万3000円、旅行消費額は3.1%減の7009億円を見込む。国際情勢や円安、燃油サーチャージの上昇が影響する一方、現地物価や航空券代が比較的手ごろな方面を選ぶ動きが続いている。
旅行先では韓国が26.2%で最も多く、台湾が16.2%で続いた。アジア全体では79.5%を占め、近距離方面への集中が目立つ。韓国は前年から6.6ポイント、台湾は6.3ポイント増加しており、価格感度の高い顧客層に対し、近場の海外旅行を現実的な選択肢として提案しやすい環境にある。
| 順位 | 旅行先 | 推計人数 | 構成比 | 前年差・前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 韓国 | 55万人 | 26.2% | +6.6% |
| 2 | 台湾 | 34万人 | 16.2% | +6.3% |
| 3 | 中国 | 21万8000人 | 10.4% | ▲54.5% |
| 4 | 香港・マカオ | 19万5000人 | 9.3% | ▲11.0% |
| 5 | アメリカ・カナダ | 17万9000人 | 8.5% | ▲4.3% |
| 6 | タイ | 12万人 | 5.7% | 0.0% |
| 7 | ヨーロッパ | 9万1000人 | 4.3% | ▲1.1% |
| 8 | ベトナム | 6万5000人 | 3.1% | ▲9.7% |
| 9 | シンガポール | 6万1000人 | 2.9% | ▲11.6% |
| 10 | フィリピン | 5万1000人 | 2.4% | ▲26.1% |
今後1年間の旅行支出については、「これまでより旅行支出を減らしたい」が41.8%と前年から3.3ポイント増加した。一方で、趣味や旅行などにかける費用を「減らしていない」と「減らしている」はいずれも27.5%となり、消費者が一律に旅行を控えるのではなく、価値を感じる旅行には支出する姿勢も残っている。販売面では、割安感に加えて、混雑回避、快適性、限定体験、家族需要などを組み合わせた提案が需要喚起の鍵となりそうだ。