JATA高橋会長「2030年待たず海外旅行2000万人を」、パスポート保有率20%回復を第一歩に
(左から)JATA髙橋会長、観光庁 村田長官、外務省 實生領事局長、ANTOR-JAPANラウル・ゲーラ会長
政府と旅行業界が海外旅行需要の本格回復に向けて連携を強化する。観光庁、外務省、日本旅行業協会(JATA)は6月16日、「海外旅行2000万人に向けた共同記者会見」を開催し、2030年までに日本人海外旅行者数を過去最高水準へ回復させる取り組みを発表した。会見後の囲み取材でJATAの髙橋広行会長は、「2030年を待たずに2000万人を実現したい」と意欲を示すとともに、パスポート保有率の向上や高付加価値商品の造成が需要回復の鍵になるとの認識を示した。
観光庁の村田茂樹長官は、アウトバウンド促進は国際感覚の向上や国際相互理解の増進につながるとして、第5次観光立国推進基本計画に基づき、「機運醸成」「若者の国際交流促進」「各国・地域との連携強化」「安心・円滑な旅行環境整備」の4つを柱に取り組みを進める方針を説明した。外務省の實生泰介領事局長は、7月1日から実施されるパスポート手数料引き下げや「たびレジ」の普及、海外旅行保険加入の重要性を訴えた。
JATAは7月1日のパスポート手数料引き下げを契機に、「もっと!海外へ」キャンペーンを加速・拡充する。会員旅行会社の商品紹介や航空会社、政府観光局との連携を強化し、パスポート保有率20%台への早期回復と、2030年までの海外旅行者2000万人達成を目指す。
髙橋会長「2030年待たず2000万人を」
囲み取材で髙橋会長は、2000万人の達成時期について「2030年を待たず、できる限り早く実現したい」と述べた。その前提として、海外旅行の基盤となるパスポート保有率の回復を挙げ、2005年に27%を超えていた保有率がコロナ禍で17%まで低下し、現在も18%台にとどまっていると指摘。「まずは20%台まで回復させたい」と強調した。あわせて、日本は韓国や台湾に比べてパスポート保有率、出国率ともに低いとして、パスポート費用と保有率、出国率には相関関係があるとの認識を示した。
今後の政策要望については、観光旅客税の引き上げを原資としてパスポート手数料の引き下げや観光関連予算の拡充が実現したことに触れ、アウトバウンド関連予算も大きく増えたと説明した。そのうえで、JATAとして今後もアウトバウンド関連予算の増額を求めていく考えを示し、特に若者が海外へ踏み出しやすい環境整備として、パスポートの無償提供を含む支援策への期待を述べた。
一方、観光旅客税の引き上げや燃油サーチャージの上昇など、旅行者負担の増加につながる要素もある。髙橋会長は、旅客税引き上げについては「相殺すると結果的にはプラス」との認識を示し、増収分を活用してパスポート手数料の引き下げやアウトバウンド関連予算の拡充が実現したことを評価した。ただし、燃油サーチャージについては、中東情勢など外部要因に左右されるため見通しは難しいとし、「下がるに越したことはない」と述べるにとどめた。
旅行商品の造成については、「高付加価値」「需要創造型」が今後のキーワードになると説明した。韓国・咸安で実施するイベント型商品を例に挙げ、「不便な場所でも価値ある体験には時間も費用も惜しまない需要がある」とし、各国・地域と連携しながら旅行会社自ら新たな需要を生み出す商品の開発に期待した。