国内線は「危機的状況」、構造改革を加速 競争と協調の両立が焦点に

  • 2026年4月15日
有識者会議の様子

 国土交通省は4月14日、「国内航空のあり方に関する有識者会議(第5回)」を開催し、5月の取りまとめに向けた骨子案と主要論点を提示した。人口減少やコスト増により国内線が「危機的状況」にある中、ネットワーク維持を前提に航空会社間の協調や制度見直しを進める方向性が示された。旅行会社にとっては、地方路線の維持可否や商品造成の前提条件に関わる重要な議論となっている。

 会議ではまず、国内航空の現状について、コロナ後に需要は回復したもののビジネス需要の減少やコスト増により収益環境が大きく悪化しているとの認識が示された。2024年度には国内線事業が実質赤字に転落しており、従来の競争中心の枠組みだけではネットワーク維持が困難な段階に入っていると整理された。

 こうした中、今後の方向性としては、競争を基本としつつも路線特性に応じた「協調」を一定程度容認する考えが明確化された。特に地方路線や離島路線については、人口減少の進行により需要縮小が避けられず、インバウンド需要の取り込みと需給適合の徹底が重要な柱とされた。

 インバウンド施策では、国際観光旅客税の活用拡充により、空港機能強化やアクセス改善に加え、航空会社への支援も拡大される。加えて、地域航空会社に対するマーケティング支援として、海外OTAへの商品掲載やメタサーチ対応などの取り組みが進められている。一方で、旅行会社経由の商品造成では欠航時の代替手配リスクが課題として顕在化しており、安定運航の確保が引き続き大きな論点となっている。

 需給最適化の観点では、「運航業務の管理の受委託」の活用促進が打ち出された。異なる航空会社間で機材や乗員を活用する仕組みで、小型機への切り替えなど柔軟な供給調整を可能にするものだが、グループ外企業間での実績がないことから、制度運用の明確化により導入を後押しする方針である。これにより地方路線の維持可能性が高まる一方、運航主体の多様化は商品設計にも影響を与える可能性がある。

 また、競争環境については、特定既存航空会社への出資規制見直しが議論される中で、過度な寡占化への懸念も示された。規制緩和後に競争が著しく損なわれる場合には、追加的な対応も検討する必要があるとされ、運賃や供給状況のモニタリング強化が打ち出された。

 運航品質では、地方路線で主力となるATR機の就航率低下が課題として共有された。欠航率の高さは旅行商品造成の障壁となっており、メーカー対応や整備体制の見直し、リモート整備の導入などを通じて改善を図る方針である。このほか、ダイヤの現実化や空域運用見直し、搭乗手続きの厳格化などにより定時性向上も進める。

 さらに、曜日運航や期間減便といった柔軟な供給調整についても前向きに検討されており、需要に応じた運航形態への転換が進む可能性がある。これは旅行商品の造成や販売計画にも影響を及ぼす要素となる。

 今回の議論を踏まえ、5月に予定される取りまとめでは、ネットワーク維持を最優先とした制度改革の方向性が示される見通しだ。