JAL、2035年にEBIT3500億円へ 10年ビジョンで事業構造を抜本転換

  • 2026年3月2日

 JALグループは2035年度を見据えた新たな成長戦略「JALグループ経営ビジョン2035」を策定した。従来の5カ年中計+ローリングプランから10年ビジョン+単年度計画へと経営管理手法を転換し、事業ポートフォリオの変革を通じて社会価値創出と持続的成長の両立を図る。2030年度にEBIT3000億円、2035年度に同3500億円以上を目指す。

 今回のビジョンでは、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築を中核に据え、成長領域への積極投資と既存事業の構造改革を同時に推進する方針だ。今後5年間で2兆円超の戦略的資源配分を行い、機材更新の加速や非航空領域の拡大、テクノロジー投資を進める。

 国際線事業では、フルサービスキャリアとLCCの両輪で拡大し、2030年度の国際線ASK(有効座席キロ)を2025年度比で1.3倍へ引き上げる。中長距離路線を中心に機材の大型化を進めるほか、ZIPAIRを軸にLCCの成長を加速する。羽田と成田の機能を最大限活用し、拡大するインバウンド需要を着実に取り込む構えだ。加えて、アジア/欧米間の旺盛な貨物需要を背景に大型貨物機の供給を拡大し、医薬品や半導体関連など高付加価値貨物の取り込みを強化する。

 マイル・ライフ事業では、今後5年間で800億円規模の戦略投資を実施し、非航空領域でのマイル発行拡大とグローバル提携強化を進める。2030年度の同領域EBITは700億円と、2025年度比1.6倍を目標とする。

 一方、国内線事業は構造改革を断行する。需要構造やコスト環境の変化を踏まえ、燃油サーチャージ導入の検討やインバウンドの国内誘客強化、デジタル活用による効率化などを進め、2028年度にEBIT600億円、利益率10%以上の安定収益体制の確立を目指す。

 社会的インパクト創出では、ドローンや空飛ぶクルマの運航を統合管理する独自基盤「AMOP」を核に次世代モビリティ事業を育成する。2035年度に同領域で50億円規模の利益創出を狙う。

 財務面ではEBITマージン10%以上、ROIC9%以上を掲げ、自己資本比率45%程度を維持する。株主還元は配当性向35%を目安に、総還元性向35~50%とし、機動的な自己株取得も組み合わせる。なお、2026年3月期の通期EBIT予想は2050億円へ上方修正し、年間配当予想も1株当たり96円へ引き上げる。